14日、米連邦最高裁判所は、スポーツ賭博を禁じた1992年の連邦法「プロフェッショナル&アマチュア・スポーツ保護法」(Professional and Amateur Sports Protection Act、PASPA)に関し、6対3で違憲とする判決を下した。
判決は、PASPA法が連邦政府による州の政策のコントロールを制限するという憲法の原則に違反しているとし、州にスポーツ賭博の禁止を強要するのは憲法違反にあたると判断した。サミュエル・アリート(Samuel Alito)判事は「合法化には重要な政策の選択が求められるが、その選択は我々が行うものではない」と、意見書で述べた。
PASPAとは
「プロフェッショナル&アマチュア・スポーツ保護法」(Professional and Amateur Sports Protection Act、PASPA)は、政府や個人が、アマチュアまたはプロスポーツ選手が参加する試合を対象としたロータリーやステークスなどの賭け事を主催、運営、広告またはプロモートすることを禁じるもので、1992年に制定された。なお、1976年から1990年の間に、行政機関によってスポーツベッティングが運営されている州は例外とするなどの除外規定があり、ネバダ州やデラウエア州、オレゴン州、モンタナ州ではスポーツベッティングが許可されている。
ニュージャージーが提訴
ニュージャージー州は、2011年よりスポーツ賭博を合法化し、カジノ事業を活性化するため、議員らが賭博を合法化するための法律を可決した。これに対し、NBAなどのプロスポーツリーグや全米大学体育協会(NCAA)はこれを違法として提訴。同州は敗訴していたが、その後、2014年にクリス・クリスティ前州知事が、カジノ場とレーストラックに限定し、スポーツ賭博禁止を廃止するための法律を制定。連邦地方裁判所と、控訴裁判所で敗訴したが上訴し、最高裁判所に持ち込まれた。なお、ニュージャージー州はPASPAは、修正10条に違反すると主張していた。
スポーツ団体は反対
NCAAは、最高裁判所の判断が与える影響を調査するとし、メジャーリーグ(MLB)は、我々の使命は、試合の健全性を保つことだが、スポーツに深刻な影響を及ぼすだろうと声明で懸念を表明。NBAや、NFL、NHLも同様に、健全性を守るための措置を行うとし、規制の枠組みを作ることを求めている。
米国賭博協会(The American Gaming Association,AGA)の発表では、毎年約1,500億ドル(約16兆5,000億円)規模のスポーツ賭博が行われている(そのうちの97%は違法)。ABC NEWSが紹介したある調査結果では、合法化された場合、32州が5年以内にスポーツ賭博を開始することが予測されるなど、多額の税収が見込めるスポーツベッティングに多くの州が期待を寄せる。
また、AXIOSによると、今回の判決が、カジノだけではなく、ドラフトキングス(DraftKings)やファンデュアル(FanDuel)など、スポーツ賭博に対する法規制に挑んできたデイリー・ファンタジー・スポーツ(Daily Fantasy Sports)会社にも大きな影響を及ぼすとみられるほか、コンピュータゲームで対戦するエレクトニック・スポーツ(eスポーツ、e-Sports)の分野にも合法化の道が広がる可能性が考えられるとしている。