「ストーンウォールの反乱」から今年で51年目を迎える。1969年6月、ゲイバー「ストーンウォール・イン」(Stonewall Inn)に踏み込み捜査を行なったニューヨーク市警察と、ゲイをターゲットとした警察のハラスメントに不満を募らせていた客の怒りが爆発。暴動へと発展した。
反乱のあった翌年よりニューヨークでは、この日を記念したパレードが毎年実施されている。LGBTQムーブメントの火付け役となったバーは現在、国定歴史建造物やナショナル・モニュメントに指定されており、観光客も多く訪れる。
今年のプライドパレードを前に、ストーンウォール・インは、店内でバドワイザーやミケロブウルトラなどビールメーカー大手アンハイザー・ブッシュが製造するビールの販売を一時停止すると発表した。
アンハイザー・ブッシュは2015年から2020年の間、反LGBTQの法案を支持する29人の議員に対し、約35,000ドルを寄付していた。
店側はこの献金内容を問題視し、店の共同オーナーやアクティビストらは、店の前の道路にバドライトなどのビールを破棄するなど、抗議活動を行なった。
LGBTQの支援を表明する企業の寄付状況を追跡し、説明責任を求める団体「Keep Your Pride」の調査によると、AT&Tやコカコーラ、GM、NBCユニバーサルの企業名が挙がっている。
ボイコットの期限については定めていないという。共同オーナーのステイシー・レンツ氏は、寄付を知った時「ぞっとした」とEaterに感想を述べ、今後はLGBTQを支援するブルックリン・ブルワリーのストーンウォールIPAなどの銘柄を積極的に仕入れたいと語っている。
これに対し、アンハイザー・ブッシュの広報担当者は声明で「われわれは22年間、GLAAD(LGBTQのコミュニテイの擁護団体)とパートナーシップを提携し、ヒューマンライツキャンペーン (HRC)のLGBTQ平等指数でも100%の評価を獲得している。これらのことを誇りに思っている」と主張。一方「何百万人の雇用を創出するビール業界を支援する候補者をサポートしている」と献金の方針について説明した。
一方、Keep Your Prideの広報担当者は「アンハイザー・ブッシュは平等について、プラスの影響を与えていない」と非難。反LGBTQ議員への寄付やロビー活動を停止するよう訴えた。