25日、ニューヨークのジャヴィッツセンターで、世界のスペシャリティフードが一堂に会する見本市「サマー・ファンシー・フード・ショー2023」がスタートした。
日本ブースはジェトロ(日本貿易振興機構)主導のもと、昨年よりも規模を拡大。出展企業は、コロナ後初の開催となった昨年の28社から今年は35社に増えた。初日の日曜日は、大勢のバイヤーらがブースを訪れた。
特色ある商品で米国での販路の獲得・拡大を狙う、注目の企業をご紹介する。
大阪の乳製品の食品メーカー、マリンフードは、特殊な製法による燻製バター、ウニや蜂蜜などの味付きバター、キャンディ型のチーズ等を出品。日本発祥のジャンルではないが、欧米文化に根ざしたバターやチーズは「見方を変えれば、ものすごい市場があるということ。味噌や醤油は今でこそ広がっているが、バターやチーズは(市場の)数パーセントであっても、大変な販売量につながる。それに期待している」と、営業本部の松本智行課長。一人当たりのチーズの年間消費量は日本に比べて少なくとも10倍に上るのだという。
ちなみに溶かさずに燻製バターを大量に生産できる技術は、世界広しといえどマリンフードにしかないという。コロナ後に米国への流通体制を刷新し、日系ではなく、米系企業との取引拡大を目指す。米系のディストリビューターを介して、一般的なスーパーに入り始めているという。
海藻を使用したペーストをパンに乗せて試食に出しているのは、宮城県気仙沼の水産加工会社、八葉水産。原料はわかめの葉と茎を主体に、海苔やバジル、オリーブオイルなどで構成されている。欧米市場向けに開発した商品群で、日本では流通していない。味は「ゴマ油・ラー油」、「ゆず果汁」、「胡椒」の3種類。昨年にはスーパーでの販売会も行い、手応えを得たという。
昨年に引き続き出展しているのは、静岡産の高級マスクメロン「静岡クラウンメロン」。2021年11月にアメリカ本土への日本産メロンの輸出が解禁された直後から米国進出を果たし、予想以上の伸びを見せているという。シアトル、サンフランシスコ、ワシントンD.Cなど地域も拡大しているという。
東京都湯島にある鶏肉などを扱う輸入商社、東西産業貿易は、新たに和菓子商品の輸出に乗り出した。色鮮やかな練りきりが、参加者の目を惹く。新型コロナや鳥インフルエンザの流行で輸入に影響が出る中で、新商品を海外に輸出することを考え始めたのがきっかけだという。
「海外にいる日本の方に、本物の和菓子をお届けしたい」と語るのは食品事業部の濁川まゆみ課長。アメリカの商流に流すのはハードルが高いが、ディストリビューターと連携し、「これから本格的にスタートするというところまできています」と話した。