米小売大手ターゲットの店内で、トランプ支持者が、LGBTQコーナーのディスプレイを破壊する騒動があった。
SNSには、トランプ氏のスローガン「MAGA」ハットをかぶった男性が、子供服売り場で、#TakePrideと描かれたディスプレイを剥ぎ取り、足で踏みつける様子が撮影されている。客から咎められると、「けがらわしい」などと言いながら売り場を後にした。
これとは別に、ニューヨーク市スタテンアイランドにある店舗では、男性が「メモリアルデー・ウィークエンドなのに、軍人への支持や敬意を示すディスプレイはどこだ?」と怒った様子で店内を撮影。店員から注意を受けると、男性は「プライドコーナーならいいのか?」と問い返し、撤去するよう求めた。さらに「お前らも、バドワイザーのように没落するぞ」と声を張り上げた。
なお先月、バドワイザーの関連ブランド「バドライト」は、トランスジェンダーのインフルエンサー、ディラン・マルヴァニーをSNSのキャンペーンに起用したことで、保守派の反発を招き、不買運動に発展した。
ニューヨークポスト紙によると、ターゲットは子供用のプライド・コレクションを販売した後、一部の消費者の反感を買った。過去1週間で時価総額は、約90億ドル減少した。
商品を一部撤去の可能性も
ターゲットのブライアン・コーネル最高経営責任者(CEO)は当初、LGBTQ商品の販売は「社会にとって正しい」と主張していた。しかし23日になって、「危険な状況」による従業員の「安全や快適さ」を考慮し、商品の撤去を含む、プライド月間の販売やプロモーションに関する「計画を調整する」と発表した。
これに対し、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は同日、自身のツイッターを更新し、「LGBTQコミュニティを過激派に売り渡した」とコーネル氏を名指しで非難。騒動は「全米中で起きているゲイコミュニティへの組織的な攻撃」と述べ、次は黒人やアジア人、ユダヤ人がターゲットになる可能性があるとも主張し、国民に警戒を促した。
なお米連邦捜査局が公表したデータによると、2020年から21年にかけて、性的指向を理由とするヘイトクライムは54%増加した。トランスジェンダーやジェンダー不適合の人々に対するヘイトクライムは、29%増加しているという。