老舗書店「ドラマ・ブック・ショップ」(The Drama Book Shop)が10日、場所を移転して再オープンした。
移転先は、以前の場所から南にワンブロック離れた場所(266 West 39th Street)で、昨年3月にオープンを予定していたが、パンデミックの影響で延期されていた。
1917年に創業した同店は、演劇関連の書物や台本、楽譜などを豊富に扱っており、演劇コミュニティの中心的な存在として愛されてきた。「ハミルトン」のクリエイターで俳優のリン・マニュエル・ミランダが高校生の頃から同店に通っており、19歳の時に地下室でトニー賞受賞ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」を書き上げた。
「ハミルトン」チームが復活支援
2018年、当時のオーナー、ロザンヌ・シーレンさんがテナント料の高騰を理由に店舗の移転が余儀なくされていること明らかにすると、ミランダと「ハミルトン」の演出家トーマス・カイル、リードプロデューサーのジェフリー・セラーと、ネダーランダー劇場支配人のジェームス・L・ネダーランダーが支援の意向を表明。同書店を買収し、共同オーナーに就任した。ニューヨーク市も書店の存続を後押しした。
店を経営するために貯蓄を切り崩してきたシーレンさんは「リン・マニュエルとトミーはホワイトナイトだ」と感謝を語っていた。
新店舗は、ハミルトンの舞台美術を手がけたデイビッド・コリンズが手がけた。20世紀のヨーロッパのカフェに着想を得た店には、演劇のポスターがディスプレイされ、前の店舗の雰囲気が残されている。プエルトリコから仕入れたコーヒーや、バッグやマグカップなどのオリジナルグッズなども販売する。地下には読書室や講座を行うギャザリングスペースを設けた。現在のところ、入店は予約制で、公式サイトから受け付けている。
開店前には多くの人が並んだ。演劇の大ファンだというアンドレさんは「閉店を知った時はとってもがっかりしたが、ハミルトンによる支援のニュースを聞いて、2年前からこの日を楽しみにしていた。本当にワクワクしている」と述べた。ドキュメンタリー監督のサンドラ・ルッカさんは「コロナの影響で開店が遅れたが、素晴らしい。街もついに開き始めた。暗闇の終わりに、いくつかの明かりが見えてきたようだ」と喜びを語った。
なお映画版『イン・ザ・ハイツ』は9日、トライベッカ・フェスティバルのオープニングでワールドプレミア上映された。『クレイジー・リッチ!』のジョン・M・チュウがメガホンを取り、高い評価を得ている。