トランプ陣営は27日、無所属で出馬していたロバート・ケネディ・ジュニア氏と元民主党下院議員のトゥルシー・ガバード氏を政権以降チームに加えると発表した。民主党側はこうした動きを、「変な(weird)」度合いが一層増しているとして、攻撃材料に利用している。
民主党による「変な人」キャンペーンは、副大統領候補のティム・ウォルズ氏が、指名を受ける前にテレビのインタビューで放った一言からはじまり、瞬く間に拡散された。他の民主党の議員らも口々にトランプ氏とJ.D.バンス氏を「変人」呼ばわりするなど、すっかり定着している。
ワクチン懐疑論者として知られるケネディ氏は、今年の選挙期間中、医師から「脳に寄生虫の死骸があると告げられた」と告白したほか、動物の頭蓋骨を研究するため、死んだクジラの頭をチェーンソーで切り落として自宅に持ち帰ったエピソードを明かされ物議を醸している。今月も10年前に路上で車に轢かれて死んだ小熊を拾い、セントラルパークに遺棄したことを告白するなど、奇妙な話題に事欠かない。
トランプ氏は選挙期間中、ケネディ氏は「真面目な候補者ではない」「民主党の回し者」とSNSで攻撃したことがあった。
民主党全国委員会は先週、アリゾナ州の集会所付近に、トランプ氏とバンス氏、ケネディ氏の3人を並べた写真に「Weird As Hell」(死ぬほど変)と書かれた巨大看板を掲示。27日には、ガバード氏が加わったことで、「トランプの変人サークルがさらにエクストリーム化」と題したプレスリリースを発表した。
ニューヨークタイムズによると、民主党は当初、ケネディ氏がスポイラー候補になることを懸念していたが、支持率が急落し、さらにトランプ氏の支持に回ったことで、その懸念は「ほぼ消え去った」と考えているという。
民主党のシンクタンク、サード・ウェイの共同設立者マット・ベネット氏は同紙の取材に、選挙が有権者にとって、ハリス氏か「カオス」のトランプ氏かの選択であることがより明確になるとしたほか、「変人たちの選挙運動はますます奇妙になった」「変人たちの選挙運動は共和党に何ら利益をもたらさない」と述べるなど、ケネディ氏の撤退はハリス陣営への追い風との考えを示している。
一方のトランプ陣営は、接戦が予測される選挙で、ケネディ支持者がトランプ氏を助ける可能性があると見ている。
トランプ陣営の世論調査員トニー・ファブリツィオ氏は先週、激戦州におけるケネディ支持者は、ハリス氏よりもトランプ氏に投票するだろうと予測。タイトな選挙戦の結果を左右するのに十分な数になりうるとメモで伝えたという。
リアルクリアポリティクスによる激戦7州(ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、ノースカロライナ、ジョージア、ネバダ、アリゾナ)に関する最新の集計では、ハリス氏はミシガンで2ポイント、ウィスコンシンで1ポイントリード。それ以外の州は、両者の差は1ポイントに満たない。
戦況について、今週のニューズネーションに出演した世論調査の専門家、フランク・ランツ氏は、トランプ氏に流れるケネディ票が支持率を1%程度押し上げる可能性があると主張。「1%がペンシルベニアやミシガン、ウィスコンシンで違いを生む可能性がある」と語った。