4月9日、Xユーザーが指摘した不自然な株取引が話題になった。
きっかけは、トランプ大統領のSNS投稿と、その数時間後に発表された関税政策の急転直下。それに先回りするように、株式市場では異常な動きが起きていた。
この日、トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」に「今が買い時だ」と投稿。一見いつものような煽り投稿かと思いきや、その数時間後、まさかの発表が飛び出す。
午後になって、アメリカが各国に課した報復的な「相互関税」を90日間、一時停止すると表明した。対象は、アメリカに対して報復関税をしてこなかった国々。わずか1週間前、「解放記念日」と称して高関税を発表し、市場を混乱させたばかりだった。まさかの方針転換に市場は反応し、ダウ平均は1日で3,000ドル近くも回復。急落からの劇的な反発となった。
株取引の不自然な動きをいち早く察知したのが、市場の動きを監視・追跡するアカウント「Unusual Whales」。
彼が指摘したのは、トランプの“買い推奨”が出る前に、すでにある銘柄に大量の買い注文が入っていたというものだった。
同氏によると、トランプ氏の投稿の前に、大量のコールオプション(=株価上昇に賭けた取引)が、QQQ・TQQQ・SPYといったETFに集中して買われていた。超短期で勝負する投機的な取引で、価格変動予測の数値からすれば通常なら割りに合わないとされるような取引だとも示唆。「これは常軌を逸している。誰かが知っていた」と疑問を呈した。
政治家からも疑問の声
政治の側からも疑いの声が上がった。コネチカット州選出の民主党上院議員、クリス・マーフィーは次のように語る。
「今朝早く投資した人は、大儲けしたはずだ。問題は、トランプの関税停止を誰が事前に知っていたのかということ。内部情報を利用したのはマール・ア・ラーゴの友人か?それとも彼の億万長者アドバイザーか?なぜトランプは、この日の早い時間に支持者に向けてあの投稿したのか?」。
さらに続けて、トランプ政権が生み出す「市場の混乱」は、一部の関係者にとって金儲けのチャンスになっていると指摘した。
「毎時間ごとに立場が変わる関税政策のカオスな性質が、その変化にいち早くアクセスできる者に、最適なタイミングで投資するか、または金を引き上げることで大金を稼ぐ豊富な機会を与えている。このホワイトハウスは一つの巨大な詐欺だ。トランプとその取り巻きは、政府へのアクセスを私利のために使っている。疑わしい。真相を追及する必要がある」。
市場の急反発、そしてそれを先読みしたような動き。仮に事前に情報を知っていた誰かがいたとしたら、その人物は、ほんの数時間で、何十億円単位の利益を手にしたことになる。
「誰かが知っていたのか?」
「“買え”というメッセージは偶然だったのか?」
民主党がこの謎を追及できるのか、注目される。