トランプ氏は次期CIA副長官に、ロバート・ケネディ・ジュニア氏の義理の娘を任命することを検討しているという。
ニューヨークタイムズが複数の関係者の話として報じたところによると、ロバート氏の息子の妻アマリリス・フォックス・ケネディ氏(44)は先週トランプ氏と会合を持ち、職について話し合った。保健福祉省長官候補に指名されているロバート氏も採用を働きかけているという。
ロバート氏の選挙キャンペーンマネージャーを務めたフォックス・ケネディ氏は、2019年に出版した回顧録「Life Undercover: Coming of Age in the CIA」で、CIAに勤めていた過去を明らかにしている。
20代でCIAに採用され、2010年まで働いたという。当時VOGUEに掲載された抜粋によると、国内の秘密の場所に設けられたトゥルーマン・ショーさながらの架空の国家で受けた過酷な訓練や、エージェントとの接触手続き、テロ対策センターで核物質がテロリストの手に渡らないように守る部門に配属されたことなどが記されている。ある時期、海外で国際美術商を装い、外交特権のない、つまり外交的保護を受けることのできない危険なスパイ活動に従事したこともあったという。
スパイ活動に詳しいジャーナリストのメアリー・ルイーズ・ケリー氏は当時、著書を「CIA職員の職務遂行方法についてこれほど詳細な記述は見たことがない」と評する一方、アルカイダの指導者に「汚い爆弾」を爆破させないよう独力で説得した話など「信じられないくらい突飛な部分」があると指摘。著書はCIAの検閲を受けずに発行され、事実確認が不可能といった問題点を挙げている。
ニューヨークタイムズは、フォックス・ケネディ氏の考えが、トランプ氏を含む共和党の敵対国に対するアプローチと「相容れない」可能性を指摘している。
フォックス・ケネディ氏は2016年のアルジャジーラとのインタビューで敵の意見に十分に耳を傾ける必要性を強調したほか、「9.11後のテロ対策と非対称戦争全般に重点を置くCIAの姿勢を批判し、中国、ロシア、イランなどの敵国における人的情報収集能力の再構築」を望んでいたともいう。
AXIOSは、ロバート氏は叔父にあたるジョン・F・ケネディ大統領暗殺にCIAが関与したと信じており、それが義理の娘をCIAのNo.2に推す動機の一部だと報じている。
ロバート氏は8月に出演したタッカー・カールソン氏の番組で、暗殺に対キューバ工作に従事したCIAの将校らが関わったと主張し、事件の直後に調査を担った「ウォーレン委員会」はCIAによってコントロールされ、いまだに資料の完全公開が実現しないのは、組織を保護しようと努めているからとの考えを示した。
CIAの副長官は上院の承認手続きを必要としない。ただし同サイトは、フォックス・ケネディ氏の適性をめぐって舞台裏で「本当のドラマ」があると報じるなど、反対派との攻防が展開している可能性を示唆している。