注目を集めるためのアイデアに事欠かさないトランプ前大統領。この度、支持者に送ったメールをめぐって、ネットで失笑や怒りの声が上がった。
トランプ氏の選挙キャンペーンは26日、支持者宛のメールで、「彼らが私に何をしたか覚えておいてほしい」と記し、「彼らはフルトン郡の刑務所で私を拷問し、私のマグショットを撮影したのだ」と主張。続けて「それで、どうなった?私はそれを全世界の人々が見ることができるようマグに貼り付けた」と、新作のカップを宣伝した。
カップには自身のマグショット写真がプリントされており、トランプ氏がその座を狙う第47代大統領にちなんで、47ドル(約7,500円)の寄付と引き換えに提供するとしている。
トランプ氏が言及したのは、昨年8月にジョージア州フルトン郡で起訴されたことに伴い当局に出頭した際のこと。護衛の車列を伴い収監施設に到着したトランプ氏は、わずか20分ほどで手続きを終え、20万ドルの保釈金の支払いを約束して施設を後にした。なお、同事件は2020年大統領選の結果を覆そうとした取り組みに関するもので、トランプ氏はRICO法違反を含む13の罪で起訴されている。
もちろん拷問などないはずで、より過激なコメントで寄付者のテコ入れを図ろうとするトランプ氏に、Xでは「なんたる詐欺師だ。彼は母親まで売り渡そうとするだろう」「彼は卑劣なガマの油売りだ」と卑下する声、「フライドポテトとダブルチーズバーガーのセットを注文して、それが入ってなかったというのがドナルドにとっての拷問」「トランプ流に言えば、”彼らは私を拷問した”というのは、自動販売機にダイエットコーラがないという意味」「24時間シークレットサービスがついてるんだから真っ赤な嘘だ。でも彼はそれさえ忘れちゃったんだね」と発言を揶揄するコメントが投稿されている。
さらに、本当の拷問による苦しみを受けた軍人に対する侮辱だとして、批判も上がった。
あるユーザーは、トランプ氏と厳しく対立したベトナム戦争の英雄、故ジョン・マケイン上院議員に言及。「ジョン・マケインはベトナム戦争中にハノイ・ヒルトンで拷問を受けて、熱中症と赤痢に苦しみながら2時間ごとに縛られ、殴打されたのだ」と投稿。さらに別のユーザーは「覚えておいてほしいのは、トランプはジョン・マケインが(戦争や拷問による負傷で)腕を上げることができないこと公然と嘲笑したのと同じ人物だということ」と、オバマケア廃止法案で反対票を投じたマケイン氏の素振りをトランプ氏が笑い物にしたと非難した。
トランプ氏は起訴や逮捕をネタにした新商品の数々を販売するなど、資金集めの原動力としている。ジョージア州で拘束された当時も、保釈直後に自らXでマグショットを拡散。メールやSNSの投稿で「NEVER SURRENDER!」(決して降伏しない)とメッセージを添え、自身の選挙キャンペーンサイトに誘導して寄付を呼びかけたほか、マグショット入りのステッカーやマグカップ、Tシャツなどを販売した。