トランプ前大統領は、20日にサウスカロライナで行われたFOXニュース主催のタウンホールで、ロシアで獄中死した反体制派のリーダー、アレクセイ・ナワリヌイ氏について改めて言及した。
19日にSNSに投稿した内容について明確化を求められると、トランプ氏は「非常に悲しい状況だ」と切り出し、「彼は非常に勇敢な男だった。帰ったのだからね。遠ざかることもできたのに。率直に言って、おそらく国を離れて国外から活動した方がはるかに良かっただろう。人々はそれが起こり得ると思っていたし、そうなった。恐ろしいことだ」と語った。
ロシア北部ヤマロ・ネネツ自治管区にある特別刑務所に収監されていたナワリヌイ氏の死亡が報じられたのは16日。現地に向かった母親は、死因を「突然死症候群」と告げられたが、「化学検査中」を理由に遺体を確認することが許されていない。妻ユリアさんは、夫の死は毒殺によるものだと主張しており、2020年の暗殺未遂に使われた神経剤ノビチョクの使用を疑っている。
ナワリヌイ氏はドイツでノビチョクのダメージから回復した後、2021年1月に改革活動を継続するためにロシアに戻ったが、空港で逮捕され、収監されたまま帰らぬ人となった。
トランプ氏は、そうしたナワリヌイ氏の勇気を讃えるも束の間、「これは我が国にも起こっていることだ」と話を転換。「われわれはさまざまな方法で共産主義国家に変わりつつある。考えてごらん。私は最有力の候補者だが、起訴された」と自身について話し始め、「すべては私が政治に関わっているからだ。とても馬鹿げたことで起訴された」と語った。
政治犯として投獄される可能性があると考えているのかと聞かれると、「もし世論調査で負けていれば、私について話すことすらなかっただろう」と、再選阻止を目的とした不当な訴追との考えを述べた。
トランプ氏は19日に初めてSNSでナワリヌイ氏に言及した際にも、自身の問題に焦点を当てており、プーチン氏に対する批判を避けたとして非難を浴びていた。
現在、トランプ氏は4つの刑事事件で起訴されており、合計91の罪状がかかっている。昨年の選挙集会では「ネルソン・マンデラになっても構わない。理由があってやっているのだから」と述べ、長年の獄中生活に耐え、南アフリカ共和国のアパルトヘイト撤廃と民主化を率いた指導者と自らを比較したこともあった。