トランプ前大統領が、第96回アカデミー賞授賞式にSNSで乱入する「珍事」が起きた。司会を務めたコメディアン、ジミー・キンメル氏は、トランプ氏に刑務所ジョークをお見舞い。会場から大きな笑いと拍手が沸き起こった。
キンメルは生放送中、トランプ氏がTruth Socialに投稿した内容に言及。自分の司会のスキルに関する「レビュー」が寄せられていると、文章を読み始めた。
「オスカーでジミー・キンメルほど最悪なホストはかつていただろうか」「彼のオープニングは、並以下の人間が、一生懸命になれもしない何かになろうとしているようなもの。キンメルを外して、もう一人のオワコン、チープなABCの”才能ある”ジョージ・スロパノプロスに取り替えろ」と続け、「かくかくしかじか・・・メイク・アメリカ・グレート・アゲイン」と締めくくると、会場が笑いに包まれた。
なお、名前が挙がった「スロパノプロス」は、タイポもしくはトランプ氏お得意のあだ名だろうか。正式な名前はジョージ・ステファノプロス。トランプ氏はSNSで、「何年にもわたって支離滅裂で、退屈、不公平」などと授賞式をディスっていた。
口汚く罵られたキンメルは「ありがとうございます。トランプ大統領」と笑顔で礼を返しつつ、「まだ起きているなんて驚きです。刑務所のお時間を過ぎているのでは?」と複数の刑事裁判で起訴されていることをネタにした。
思わぬ乱入にジョディ・フォスターが大爆笑。
ネットでは「オスカーの歴史的瞬間!いいぞ!」「ジミーにオスカーを!」「そして、ルーザーは…(トランプ氏の動画)」といった賞賛のほか、MAGAサポーターからは「なんたるバカの集まり。ハリウッド人は民主党の奴隷」「10年後にジムの名前を覚えている人はいないだろうが、トランプはラシュモア山の価値がある」などのコメントが投稿されている。
トランプ氏とキンメルの掛け合いは以前からで、2017年の授賞式では、生放送中にキンメルから「起きてる?メリル(メリル・ストリープ)がよろしくって、言ってるよ」とツイートで呼びかけた。
トランプ氏は、アカデミー賞の前哨戦、その年のゴールデングローブ賞におけるメリル・ストリープのスピーチ後に「過大評価されている」「ふしだらなヒラリー」と攻撃していた。
2018年は、トランプ氏が視聴率の低さについて「史上最低の視聴率のオスカー。問題は、スターがもういないってことーあなた方の大統領以外にね(冗談だけど)!」と皮肉をツイートすると、キンメルは、「ありがとう。史上最低の支持率の大統領」とやり返した。
こうした反応はトランプ氏がハリウッドにとっての好敵であることを思い出させる。悪名は無名に勝る。バイデン大統領との再対決がほぼ確実視されているトランプ氏。世界中が視聴する番組で取り上げられ、うまくいったと思っているに違いない。