トランプ前大統領は、米連邦議会で審議中の400億ドル(5兆2,000億円)規模のウクライナ追加軍事支援金を盛り込んだ予算案に否定的な考えを示した。
トランプ氏は13日、自身の政治活動委員会(PAC)、「Save Amarica」を通じて出した声明で「民主党は400億ドルの追加支援予算を通過させようとしている。アメリカで親たちが自分の子供に対して満足に栄養を与えることもできない中で」と主張。乳児用粉ミルクの供給不足が起きている問題を「誰も語ろうとしない」のは「国家の恥だ」と訴えた。
さらに「2022年の今、アメリカの家庭で、子供のために乳児用粉ミルクを入手できない事態など考えられない。重度のアレルギーがあり(精製アミノ酸のみをアミノ酸源とした)『エレメンタル』の人工ミルクが必要な子供がいる家庭は、さらに悲痛で過酷な状況を強いられる」と加えた。
「子供たちに栄養を与えてやれない父親と母親たちが経験している痛みは、民主党にとって永遠の恥の印となろう。アメリカファーストだ」と非難した。
米下院は今週、ウクライナへの追加軍事支援金として87億ドルの経済支援費、60億ドルの治安維持費、9億ドルの難民支援費などを含む400億ドルの予算案を、賛成368対反対57で可決した。反対票を投じた57人は全員共和党議員だが、共和党の大半は賛成に回り、超党派の支持を得た形。
上院では12日の時点で、多数党のチャック・シューマー院内総務(民主・ニューヨーク州選出)と、少数党のミッチ・マコーネル院内総務(共和・ケンタッキー州)が週内に採決することで合意していたが、ランド・ポール議員(共和・ケンタッキー州選出)が迅速な可決に反発した。
ポール議員は、アフガニスタン復興担当特別監察官の監督権限をウクライナ支援金に拡大する文言を同予算案に盛り込むようと主張。現状の予算案通過後に、修正案として別に条項を採決するのでは否決される公算が大きいため、この方法を取ったとみられる。
これと別に、乳児用粉ミルク不足の問題に関し、米議会では民主共和両党から極めて深刻とする声が上がっている。自身も3人の幼い子供がいるエリック・スウォルウェル下院議員(民主・カリフォルニア州)は、The Hillの取材に対し「粉ミルクの価格は高騰しているし、供給不足でオンラインでしか購入できなくなっている」と現状を語った。