トランプ大統領は、3人の子供と娘婿、弁護士のジュリアーニ氏に先制的恩赦を与えるかどうかについて、アドバイザーらと話し合いを行なった。ニューヨークタイムズが、関係者2人の話として報じた。
なお同紙は、この記事の前に、ジュリアーニ氏が先週、自身の恩赦の可能性について、トランプ大統領と直接話をしたと伝えていた。
トランプ氏は周囲に、バイデン政権下の司法省が、トランプ・ジュニア氏とエリック氏、イバンカ氏と夫のジャレッド・クシュナー氏を標的にすることで、トランプ氏へ報復を試みるかもしれないと、懸念を示しているという。
トランプ・ジュニア氏は、2016年の選挙期間中、クリントン氏に有害となる情報を巡ってロシア人と接触したとして、ロバート・モラー特別検察官の捜査対象となったが、起訴されなかった。大統領上級顧問のクシュナー氏は、機密情報の扱いに関する審査に際して、外国人との接触に関する誤った情報を政府に提供した。
2018年にホワイトハウスの法律顧問と首席補佐官は、クシュナー氏はトップ・セキュリティ・クリアランスを受けるべきではないと助言したが、トランプ氏は許可を与えている。
エリック氏とイバンカ氏については、トランプ氏の懸念がどのような性質か不明だが、マンハッタンの連邦検事局は、トランプオーガニゼーションに対する捜査の範囲を広げており、イバンカ氏に渡ったとみられるコンサルティングフィーなど、同社の経費処理にまで及んでいるという。なお大統領恩赦は、州の犯罪には適用されない。
ジュリアーニ氏についても、どのような犯罪への関与の可能性を考えているか不明。ただし、ジュリアーニ氏は今年の夏、ウクライナにおけるビジネスの取引と、トランプ氏の弾劾調査の中核となったヨヴァノヴィッチ元駐ウクライナ大使の解任への関わりについて、マンハッタンの連邦検察の捜査対象となっていた。
ヨヴァノヴィッチ元駐ウクライナ大使の解任に関して、検察官は、ジュリアーニ氏がトランプ氏だけでなく、これを望むウクライナ当局者のために働いた可能性について焦点を当てているという。外国高官の関与を明かさずに、これらの要請や指示に基づいて米国政府に影響を与える試みは連邦犯罪となる。ジュリアーニ氏はウクライナ人ではなく、トランプ氏の代理として行動しており、誤りはないと主張している。
ジュリアーニ氏はツイッターで、ニューヨークタイムズの報道を否定した。
なお大統領は、有罪が確定していない犯罪に対して先制的に恩赦を与えることができる。訴追前や訴訟中、有罪判決後のいずれの行いにも権限を行使することができる。
先制的に広範な恩赦を与えるケースは稀だという。前例としては、ジョージ・ワシントン大統領が、ウイスキー税の反乱の共謀者に恩赦を与え、反逆罪の訴追から保護したことや、ジェラルド・フォード大統領がニクソン大統領に、在任中のすべての行いについて恩赦を与えたケースがある。またカーター大統領は、ベトナム戦争の徴兵を忌避した者に、全面的な恩赦を与えている。
トランプ氏の支持者からは、トランプ氏自身や家族の恩赦を後押しする声が上がり始めている。
Foxニュースホストのショーン・ハニティ氏はテレビやラジオ番組で、ロシア疑惑の捜査に関わったアンドリュー・ワイズマン氏が、次期司法長官はトランプ氏の捜査をして、正当な理由があれば起訴するべきだと主張していることに言及した上で、「トランプ氏に自分自身と家族を恩赦するよう話をした」と語った。