23日、トランプ大統領はジョン・F・ケネディ大統領、ロバート・F・ケネディ上院議員およびマーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺事件に関連する記録の機密解除を進める大統領令に署名した。
今回の大統領令では、国家情報長官に対して15日以内にケネディ大統領暗殺事件の全記録を解除する計画を提示するよう命じ、ロバート・ケネディ氏、キング牧師の事件については45日以内に記録を審査して、完全公開に向けた計画を提示するものとした。
1992年に成立したジョン・F・ケネディ大統領暗殺記録収集法では、暗殺に関連するすべての記録を2017年10月26日までに完全に公開することが義務づけられた。トランプ氏は1期目に公開を進めたが、CIAやFBIの要請により完全公開を見送った経緯がある。
昨年、ポッドキャストのインタビューで、政権でCIA長官と国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏を含む「善良な人々」から公開しないよう頼まれたと明かした。完全公開に踏み切れなかった理由を聞かれると、「まだ生きている人々で、影響を受ける人々がいる。国家安全保障上の理由もあり得る」と語った。
500万件を超えるとされる記録の中で、部分的または完全非公開となっているものはわずか数千件ともいわれている。
ネットの反応「エプスタインは?」
かねてからの公約を果たす姿勢をアピールしようというトランプ氏だが、ネットでは不満の声も上がっている。
あるXユーザーは「トランプはエプスタインフィルを含めるのを忘れているよ。私は忘れないぞ」と投稿。トランプ氏が1990年代にマール・ア・ラーゴで開いたパーティで、故ジェフリー・エプスタイン元被告と交流する様子を撮影した動画を添えた。
別のユーザーは「エプスタインのファイルに手を付けないのは奇妙だ。うっかりミスに違いない」とコメントを投稿した。
エプスタイン元被告は未成年の少女数十人にマッサージや性行為をさせたとして、フロリダ州で2007年に起訴された。翌年、連邦検察と司法取引を行い、州で2件の買春勧誘罪を認め、13カ月間服役した。2019年7月には少女らを性的搾取の目的で人身取引したとして、ニューヨーク南部地区連邦検事局によって逮捕、起訴されたが、勾留中に自殺をはかり死亡した。被害者は100人を超えるとも言われている。
トランプ氏を含む政財界の大物と幅広く交流していたことで知られる。その中には英王室のアンドルー王子など、エプスタイン氏の性的人身取引に直接関与した疑惑で、被害者から訴えられたケースもある。
エプスタイン氏との交友関係
ともにニューヨーク出身のトランプ氏とエプスタイン氏は1987年頃に知り合い、友人関係は2004年にフロリダの不動産取得をめぐって対立するまで続いたとされる。
トランプ政権の裏側を描いた暴露本「FIre and Fury」で知られる作家、マイケル・ウォルフ氏によると、二人のプレイボーイはトップレベルの美人モデルをめぐって激しく競い合い、同時期に同じ女性と交際していたことがあった。エプスタイン氏は、メラニア夫人をトランプ氏に紹介したのは自分だと豪語していたともいう。
先述のXユーザーが投稿した動画は、NBCニュースが1992年に撮影したもので、二人は会話をしながらダンスフロアにいる女性たちを指差すなどしている。2000年に同じくマール・ア・ラーゴで撮影された写真では、トランプ氏は当時交際中だったメラニア夫人とエプスタイン、エプスタインの共犯者で現在服役中のギレーヌ・マクスウェル受刑者と4人で写っている。
トランプ氏がエプスタイン元被告の事件に関わった証言や疑惑はない。ただし被害を告発した女性の一人、バージニア・ジュフレ氏は、マール・ア・ラーゴでロッカールーム係をしとして働いていた15歳の頃、マクスウェル氏からエプスタイン氏との面接を打診されたと証言している。
また、マクスウェル氏の裁判の一環で2021年に公開された飛行記録によると、トランプ氏はエプスタイン氏のプライベートジェットに7回搭乗していたことが判明している。
トランプ氏は2002年のニューヨークマガジンのインタビューで、エプスタイン氏を「素晴らしい男だ」、「彼と一緒にいるととても楽しい」、「彼は私と同じくらい美しい女性が好きだとも言われている。しかも若い女性が多い」などと述べたこともあった。ただし、エプスタイン氏の逮捕後、当時大統領だったトランプ氏は記者会見で、「私は彼のファンではなかった」と距離を置いた発言をしている。
なおウォルフ氏によると、エプスタイン氏は、トランプ氏がトップレスの少女たちと撮影した複数枚の写真を金庫に保管していたという。写真の行方について、「(FBIが)2019年にエプスタインの家を捜索し、金庫の中身を押収した」と話している。