トランプ大統領は15日、イスタンブールにあるサウジ総領事館を訪問したジャーナリストのジャマル・カショギ氏が行方不明となっている事件に関し、「ならず者の殺人者」による犯行もありうる、と発言。サウジ政府の関与ではない可能性を示唆した。
この日、トランプ大統領は約20分間、サウジ国王と電話会談を行ったという。「国王はいかなる関与も強く否定した」述べ、「(国王の)彼の心の中まで詮索したくはないが」としつつ、「彼は本当に何も知らなかった。」と、国王の発言に一定の信頼を寄せた。さらに、マイク・ポンペオ国務長官をサウジアラビアに派遣し、必要に応じて他国へも訪問させることを明らかにした。
トランプ大統領は、14日に放送されたインタビュー番組で、武器取引を失いたくないと述べつつ、殺害がサウジ政府によるものであれば、「恐ろしく、おぞましいこと」と述べ、「我々は真相を究明し、それは厳しい処罰となるだろう」と語っていた。
サウジ側は疑惑を否定しており、昨日の声明で「経済制裁、政治的圧力、濡れ衣など、いかなる脅威や試みを完全に拒否する」「いかなる行動に対しても、さらに強い行動で返す」と、制裁が発動された場合、強い対抗措置を取る構えを示していた。
一方、これまでの報道でトルコ側は、失踪当日にリヤドからプライベートジェットで入国し、カショギ氏と同時刻に総領事館に入館した15名のサウジ関係者が殺害に関与したとするほか、殺害時の音声とビデオテープがあるとするなど、殺害を裏付ける証拠があると主張している。
ただし、テープなどの証拠を米国側と共有したかについては不明で、このことから、NYタイムズは専門家の話として、トルコ側はサウジと情報開示を巡って水面下で取引をしている可能性を指摘する。
通貨危機や巨額の対外債務など、経済危機に直面するトルコは、サウジのような裕福な貿易相手国と長期間の衝突をする余裕がなく、2国の対立を超えてサウジの援助や投資を歓迎するかもしれないという。
また、同地域の事情に詳しい多くのアナリストは、サウジ王室はカショギ氏の失踪または殺害を、ならず者の仕業として片付けることを推測しているといい、真相の解明よりも政治決着が優先される懸念が広がっている。