ニューヨーク州の控訴裁判所の判事は、トランプ氏の4.5億円の支払いの一時停止の請求を却下した。
トランプ氏や一族企業が有利な融資条件を得るために金融機関に資産価値を偽っていた問題で、ニューヨーク郡裁判所のアーサー・エンゴロン判事は2月16日の判決で、トランプ氏に対して不正に得た利益3億5,480万ドルと不正が行われた日から発生した利息(9%)の支払いを命じた。
判決は23日に正式なものとなり、それを受けて上述の合計金額454,156,783ドル(680億円)に年利9%、日割りにして111,984ドル(約1,700万円)が追加されることになった。
トランプ氏は昨日、控訴する旨を通知したが、判決の執行を止めるために30日以内に全額を現金または資産を預け入れるか、ボンド(外部の企業による全額保証)を確保し、提出する必要があると報じられていた。
The Hillによると、トランプ氏の弁護士は28日、1億ドルのボンドを差し出す計画を示すとともに、下級審の判決に含まれた金融機関からの3年間の借入禁止令を理由に、全額を確保することが不可能になったと説明した。
一方で、エンゴロン判事がトランプ氏の企業に設置を命じた監視人により、敗訴した場合に全額支払うことが確保されているとも説明。ニューヨークに所有する不動産だけで十分に用意が可能だと主張した。
これに対して、州側の弁護士は控訴裁判所に提出した文書で「被告は判決額の4分の1未満を進んで差し出すのであるから、全額のボンドや預け金は不要だという主張には何の根拠もない」と反論。「被告は判決を満たすだけの流動資産がないことを認めたも同然だが、そうするために資金を調達する必要がある」と異議を唱えた。
なお、フォーブス誌の昨年の推定では、トランプ氏の純資産は26億ドルで、現金と流動資産は4億2,600万とされている。トランプ氏も昨年の証言録取で、現金資産を4億ドル以上と自ら証言していた。
USA Todayによると28日、ニューヨーク州裁判所控訴部のアニル・シン判事は暫定的に、トランプ氏は全額のボンドを差し出さなければならないとし、3年間の融資禁止も有効だとした。ただし、トランプ氏の息子二人に対する経営参加については控訴中は許可するとした。エンゴロン判事は、トランプ氏に今後3年間ニューヨークのいかなる企業の役員および取締役に就任することを禁止するとともに、長男ジュニア氏と次男エリック氏にも経営に2年間携わることを禁じていた。
トランプ氏が控訴中に支払うべき額は、来月、5人の控訴裁判所判事による委員会によって審理されるという。
サイ判事はまた、ニューヨーク州司法長官による反論の提出期限を3月11日とし、トランプ氏は3月18日までにこれに回答することと定めた。
レティシア・ジェームズ司法長官は先日、ABCニュースのインタビューに応じ、トランプ氏が判決金を支払わなかった場合、不動産を差し押さえる可能性を示唆している。
同裁判に加えて、トランプ氏は1月に判決が下った女性作家との名誉毀損訴訟でも8,330万ドルの支払いを命じられている。