29日、バイデン陣営がマンハッタンの裁判所前で開いた記者会見に、俳優ロバート・デ・ニーロが加わり、トランプ氏を厳しい言葉で非難した。
この日は、ポルノ女優ストーミー・ダニエルズに対する口止め料の支払いをめぐる刑事裁判の最終弁論が行われた。
2001年の米同時多発テロ事件後、ロウアーマンハッタンの復興を支援するため、トライベッカ映画祭を創設したデ・ニーロは、「この街には多大な恩恵があり、テロリストは許さないと誓った。彼がこの通りの向かい側にいるのは奇妙に感じる」と所感を述べた後、「トランプは、この街だけでなく、国、最終的には世界を破壊しうる」と切り出した。
トランプ氏に批判的なデ・ニーロは「クラウン」、「卑しい不動産のハスラー」と呼んだ上、ニューヨークは「寛容的で、(トランプ氏を)カルチャーの一部だと容認してきたものの、国を動かすような人物ではないと思っていた」と説明。「われわれほど彼を知らなかった人々が支持し始め、今では真剣に受け止められている」と述べた。
2016年大統領選への出馬は「ジョーク」で、「このバカモノの出馬は実現すべきではなかった」と主張。「二度目のチャンス」であり、「きっぱりと選挙で落選させる時だ」と呼びかけた。
また「われわれは、道化師が残忍な独裁者になるまで、真剣に受け止められていなかったという歴史を忘れていた」と指摘。「トランプがホワイトハウスに戻れば、当たり前と思っていた自由に別れを告げる時だ」「彼が大統領になったら、二度と去らない。それは私たちが住みたい国か?」「これは脅威ではなく、現実だ」と続け、「自由と人間性を守る唯一の方法は、ジョー・バイデンに投票することだ」と訴えた。
デ・ニーロは今月、ABCの番組でトランプ氏をヒトラーやムッソリーニの主張も当時は真剣に受け止められていなかったと警告していた。
ニューヨークポスト紙によると、MAGAファンから「民主党全国委員会に雇われたアクター」と呼ばれ、デ・ニーロが「お前はバカだ」と言い返す場面もあったという。
デ・ニーロの発言に対し、トランプ氏はTruth Socialへの投稿で、「トランプ発狂シンドロームという不治の病にかかっている」「イカれた元俳優が、これほど精神的かつ身体的にちっこい奴だと思わなかった」などと揶揄。「悪徳ジョー・バイデンの求めで、政治分野に足を突っ込んでからは、映画や芸術性、ブランド価値はダダ下がり。非常に哀れで残念。ジョー・ディマジオはどこへ行った!!!」と続けた。
なお最後のフレーズは、ダスティン・ホフマンの出世作『卒業』で使用されたサイモン&ガーファンクルの名曲「ミセス・ロビンソン」の歌詞を引用したもの。一部では「デ・ニーロとダスティン・ホフマンを同一人物だと勘違いしているのでは?」と勘ぐる声も上がっている。