トランプ氏がバイデン氏を突然持ち上げ、その狙いは?

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米国の27日の午後9時(東部標準時)、バイデン氏とトランプ氏が大統領選討論会で4年ぶりに対決する。

開催地はジョージア州アトランタで、CNNの看板ホストのジェイク・タッパー氏とダナ・バッシュ氏が進行を務める。第三候補のロバート・ケネディ・ジュニア氏は、世論調査の支持率およびこれまでに候補者として投票用紙に載ることが認められた州の数が出場資格を満たさなかったため、不参加となった。バイデン氏は20日夜にキャンプデービッドに向かい、そこで討論会の準備を行うと見られている。

一方のトランプ氏といえば、ここにきて方向を修正しようとしているとの指摘が上がっている。

トランプ氏は20日にゲスト出演したポッドキャストの番組で、2012年の副大統領候補者討論会のパフォーマンスに言及。バイデン氏は討論相手のポール・ライアン元下院議長を追い詰めて「破壊した」とした上で、「私は彼を甘く見ていない」と説明した。「何年も前のことだが、彼はポール・ライアンをかなり打ちまかした。彼は討論に値する人物だと見なしている」と、珍しくバイデン氏を持ち上げる発言をしていた。

こうした発言について、ニューヨークタイムズの記者、マギー・ヘイバーマン氏はCNNの番組で、トランプ陣営はバイデン氏を「褒める」方向に向かっていると聞いていると明かした。

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「バイデン氏は靴ひもを結べず、ステージのあちこちでつまづく云々といったことから離れて、例えば数ヶ月前の一般教書演説の時と同じく、バイデン氏が良い討論をすると期待していることを示唆しようとしている」と説明。「つまり、トランプ氏側には、バイデン氏に対する期待を下げすぎたという認識がある。討論会まであと一週間だが、書き換えに十分な時間かどうかわからない」と加えた。

トランプ氏は討論への参加を受けた際、バイデン氏を「これまで対決した中で最悪の討論者だ。2つの文章をつなげることもできない」と馬鹿にする発言をしていた。

ラジオホストのマイケル・スマーコニッシュ氏も、トランプ氏がバイデン氏を弱者扱いしすぎた結果、バイデン氏にとってのハードルは非常に低くなったと指摘。「一般教書演説のように、彼(バイデン氏)はおそらく簡単に期待を越えられるだろう」と述べ、今になってバイデン氏を持ち上げようとしても「遅すぎる」と語った。