演説スキルはシェイクスピア級?トランプ氏が自慢する技術とは

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トランプ氏のスピーチスキルはシェイクスピアのような卓越した作家に匹敵するのだという。少なくとも本人たちはそう考えている。

8月30日にペンシルベニアで開いた選挙集会の中で、トランプ氏はハリス氏との討論会が待ち遠しいとした上で、「私がウィーブ(weave)をしているのをご存知だろうか」と問いかけた。「ウィーブってなんだと思う。私は異なる9つのことについて話して、それらがすべて見事に結びつくので、私の友人の英語教授などは、”今まで見た中で最高にすばらしい”と言ったりするのだ」と説明。「それなのにフェイクニュースはなんと言っているか、とりとめもない話をしていると言うのだ」と続けた。

ニューヨークタイムズが同発言についてトランプ陣営に尋ねたところ、「ウィーブのマスタークラス」と称して、今月ノースカロライナの集会で行ったスピーチの抜粋を提供したという。

ビデオには、「エネルギー料金からハンター・バイデン氏のラップトップ、ベネズエラの石油、メキシコの精神病施設、移民危機、グリーン・ニュー・スキャム(詐欺)、ハリス副大統領」まで、4分以上にわたっておなじみの話題を繰り出すトランプ氏の様子が収録されていたという。

同紙は、「支離滅裂だが、結局のところ、自分がなぜ再び大統領になるべきかという点に行きついているように見える」と解説。さらに、「すべてのテーマを最後にすっきりと巧みにまとめ上げる能力」で賞賛された作家にはシェイクスピアやチャールズ・ディケンズ、ラリー・デイヴィッドらがいる、とウィーブの例を挙げつつ、「トランプ氏の場合、言語の飛躍を解釈するための解釈学的方法を見つけるのは難しい」と皮肉を添えた。

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一方、トランプ陣営の報道官は、「プロンプターなしでは筋の通った話ができないカマラ・ハリスと違って、トランプ大統領は何時間でも複数の印象深いストーリーを同時に話すことができる」と豪語したという。

なお、トランプ氏の伝記本『TrumpNation: The Art of Being the Donald』の著者、ティモシー・オブライエン氏は、同紙の取材に、英語の教授の友人がいるとするトランプ氏の主張も「極めて疑わしい」としている。

ハリス氏のスキルは?

トランプ氏の主張の是非はさておき、ハリス氏については、中身の薄い話を長々と話すことがあるとして、以前から批判の対象になっている。

29日に満を辞して出演したCNNのインタビューでも、回答が要領を得ず、インタビュアーが質問を繰り返す場面があった。

MSNBCの番組に出演した共和党全国委員会の元広報部長、ダグ・ヘイ氏は、「カマラ・ハリスはしばしば、質問を受けて、非常に長い答えをしてもがくことがある」と指摘。「しかも答えは千差万別で、何を言っているのか推測できないほど非常に長たらしい言葉の羅列だ」と述べた上で、CNNのインタビューではそうした「弱点」が「明らかにされた」と語った。

ヘイ氏はさらに、1980年の民主党予備選で撤退を余儀なくされたジョン・F・ケネディ氏の末弟、故テッド・ケネディ氏に言及。

「1980年にテッド・ケネディが、なぜ大統領に立候補したのかという極めて単純な質問を受けた時のことを思い出した。彼は基本的な質問への答えに3分間を要した。ハリスは、何を言おうとしているのか疑問に思わせるような、こうした状況によく陥いりやすい」と述べ、「昨日目にしたのは、まさにそれだった」と語った。

話が長いという点ではどちらも譲らないトランプ氏とハリス氏。第一回目の討論対決は10日午後9時(米国東部時間)に開催される。