米同時多発テロから20年目を迎えた11日、ニューヨーク市の世界貿易センタービルの跡地では、遺族らに加え、バイデン大統領夫妻、オバマ氏、クリントン氏らの出席のもと、追悼式典が行われた。
一方、トランプ前大統領は式典に出席せず、市内の警察署と消防署を電撃訪問。歓迎ムードのなか、職員らとの会話に興じた。
ミッドタウンの警察署に到着したトランプ氏は冒頭、「いろんな意味でとても悲しい日だ」と述べ、バイデン大統領のアフガン撤退に失望しているなどと話した。続けて、大統領選で自分を支持してくれたと感謝を表明。大統領候補にニューヨークの警察が支持を表明したのは初めてだと、誇らしげに語った。
なお、ニューヨーク市警察最大の労働組合は再選を支持したが、警察局自体は支持を表明をしていない。
質疑応答に移ると、大統領選出馬の質問が飛んだ。
トランプ氏は「簡単な質問だ」と述べつつ、心に決めているが「率直に言って、馬鹿げた選挙資金法」の観点から「まだこれについては話してはいけないことになっている」と説明。「でも、君たちはハッピーになると思う。このように言っておこう」と、可能性をほのめかした。
途中、昨年のタリバンのリーダーとの電話会談に言及。アブドゥル・ガニ・バラダル師との「強力な会話」をしたと述べた上で、18カ月の間、1人の米兵の命も失わなかったのは「私のおかげだ。私が彼らに言ったことのおかげだ」と説明した。一方で、ニューヨーク市やシカゴの犯罪統計は「クレイジー」だと市政を批判。「殺人をしても問題にならない。保釈金もない」と語った。
「大統領選に出ないと決めたら、ニューヨーク市長に立候補を検討しますか?」と意外な質問を受けると、トランプ氏は「興味深い質問だ。ぜひとも」と笑いながら返答。「みんな頑張って、街に行って来い」と命令すれば、一週間で「この街には犯罪がなくなった」と発表するだろうとジョークを飛ばし、「今までで一番簡単な仕事だ」と語った。
なお、トランプ氏は繰り返して大統領選出馬の可能性をほのめかしているが、候補者としての人気を維持できるか、共和党支持者の意見は前回よりもわかれているようだ。
CNNとSSRSが8月から9月にかけて実施した世論調査によると、共和党有権者と共和党寄りの無党派層の63%がトランプ氏が指導者になるべきと回答する一方、次回の大統領選でトランプ氏が勝つ見込みが高いと考えているのは51%で、49%が他の候補者の方が可能性があると答えた。2019年の調査では、4分3がトランプ氏に自信を示していた。
今後の支持率次第で、出馬の判断も「簡単」でなくなるかもしれない。