5日に投開票が行われた大統領選に勝利したトランプ前大統領は、Truth Socialのアカウントを更新し、次期政権でマイク・ポンペオ元国務長官を起用しない考えを明らかにした。
「私は、現在発足中のトランプ政権にニッキー・ヘイリー元国連大使とマイク・ポンペオ元国務長官を招くつもりはない。彼らとのこれまでの仕事についてはとても楽しみ、ありがたく思っている。彼らが我が国に貢献してくれたことに感謝したいと思う。メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!」
ポンペオ氏が政権から外れることは、1963年のジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件の真相解明を望むファンにとって朗報かもしれない。
それというのも、トランプ政権一期目で事件の関連資料の完全公開を阻止したのが、当時CIA長官だったポンペオ氏だと見られているからだ。
トランプ氏も同氏の反対があったことは認めている。先日配信されたジョー・ローガンとの対談では、部分的に公開を果たしたと述べつつ、ポンペオ氏を含む「善良な人々」から公開しないよう頼まれたと明かした。完全公開に踏み切れなかった理由を聞かれると、「まだ生きている人々で、影響を受ける人々がいる。国家安全保障上の理由もあり得る」と語った。
存命の人物については、政府関係者で事件に「何らかの形で関わっていた」人々であると示唆しつつ、「今こそ公開するべき時だ」と完全公開の意向を示した。
ケネディ氏の甥であり、父ロバート氏も暗殺により失ったロバート・ケネディ・ジュニア氏の政権起用の可能性も、期待に拍車をかけている。
ケネディ氏が選挙戦から撤退した8月、トランプ氏は同氏の協力を取り付けるとともに、選挙集会で壇上に招き、当選した暁には、残りの文書の全公開を任務とする大統領直轄の独立委員会を組織すると約束した。
現在、保健福祉省の次期長官候補にケネディ氏の名が挙がっていると噂されている。
同氏はこれまで、暗殺事件に対キューバ工作に従事したCIAの将校らが関わったと主張しているほか、事件の直後に調査を担った「ウォーレン委員会」はCIAによってコントロールされ、完全公開が実現しないのは、組織を保護しようと務めているからとの考えを示している。
暗殺事件への関心が再燃したのは発生から約30年後。1991年に公開されたオリバー・ストーン監督による映画「JFK」をきっかけに陰謀論が噴出したことを受け、議会では翌年の1992年に「ジョン・F・ケネディ暗殺記録」が成立した。映画は、リー・ハーヴェイ・オズワルドの単独犯行を否定し、CIAやFBIといった国家ぐるみの関与の可能性を示す内容だった。
同法は国立公文書記録管理局(NARA)に対して事件に関連するすべての資料を収集、保管することを義務付けたもので、同局は収集資料は500 万ページを超えるとしている。ほとんどの記録は研究のために公開され、99%が公開済みであるとしている。
トランプ氏は大統領だった2017年にも完全公開の意向を示したが、最終的には国家安全保障上の理由に基づき一部のファイルの公開を延期し、2021年までに公開するとした。2018年に公開が承認された資料は約19,000件で、その多くが黒塗りがされていた。
バイデン氏は2021年の覚書で、パンデミックにより資料の審査に遅れが生じたことから、NARAから延期の求めがあったと説明。その中で「軍事防衛、諜報活動、法執行、外交の運営に対する損害が、即時開示の公共の利益を上回るほど重大である場合は、それを防ぐために一時的な延期を継続する必要がある」と述べた。
ワシントンポスト紙によると、バイデン氏はその後13,000件を超える文書を公開したが、昨年発表した覚書では、公開するファイルの「最終認定」を行ったと宣言する一方で、公開の権限を政府機関に移す計画を明らかにしている。
ニューヨークタイムズによると、全部または部分的に非公開とされている文書は4,684件あるという。
調査報道ジャーナリストのジェファーソン・モーリー氏は2023年10月にポスト紙に掲載されたオピニオンで、バイデン政権で公開された資料は「陰謀の証拠」にはならないとする一方で、CIAはオズワルドを1959年から監視していたほか、CIAの一部の職員がオズワルド単独犯行を信じていなかったことが明らかになったと主張。さらに、ケネディ氏の検死に関する宣誓証言のすべてが、公式見解である単独犯行説を覆すものだと説明している。