トランプ氏「クレイジー」な人募集、弁護士を変更へ

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先週末に結審した名誉毀損訴訟で多額の賠償支払いを命じられたトランプ前大統領が、控訴審に新たな布陣で臨む意向を示した。

トランプ氏は30日、Truth Socialのアカウントを更新し、「最も馬鹿げた不公平な魔女狩りの上訴」に際して、「さまざまな法律事務所と面談を行なっているところだ」と明かした。

訴訟は、女性作家E・ジーン・キャロル氏が、2019年に性的暴行を告発した後、トランプ氏が嘘つき呼ばわりし名誉を毀損されたとして訴えたもの。16日からスタートした審理は、トランプ氏もほぼ毎回出席し、25日には自ら証言台に立った。ニューヨークの陪審は26日、トランプ氏に8,330万ドル(約120億円)の損害賠償の支払いを命じる評決を下した。

キャロル氏との裁判はこれが2回目で、昨年の1回目の審理では、名誉毀損に加えて、トランプ氏がレイプをしたかどうかが争われた。陪審は5月に評決に達し、レイプは認めなかったものの、トランプ氏に性的虐待と2022年の発言について名誉毀損の責任があると認定。500万ドルの損害賠償の支払いを命じた。

トランプ氏はこのほかに、資産を水増ししたとされる訴訟でも巨額の支払いを命じられる危機に直面している。同訴訟でニューヨーク州の司法長官は、トランプ氏や一族の企業に対して3億7000万ドルの返還を求めており、判事は今週のうちに判決を下す計画を示している。

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潤沢な資金を背景に、次々と新たな弁護士を送り込んできたトランプ氏だが、そろそろ選択肢が限られてきたのかもしれない。

今回のキャロル氏の訴訟を率いたのは大型の訴訟の経験が浅いとされる、アリーナ・ハバ氏だった。

先週行われた最終弁論では、判事の注意にもかかわらず、証拠として認められていない資料の説明を続けたことから、「拘置所に行く寸前」と警告を受ける場面があった。

アリーナ・ハバ
法廷建物の近くで会見を開くアリーナ・ハバ氏©MashupReporter

こうしたパフォーマンスをめぐって、専門家からはハバ氏の起用を疑問視する声が上がっていた。

トランプ氏の元弁護士だったティム・パルラトーレ氏は、CNNのインタビューで、「私なら彼女に代理人をさせたことを後悔するだろう」と一言。「これら両方の裁判で、彼は基本的に無防備だった。もっと違う結果になっていたかもしれない」と加えた。

MSNBCの番組に出演した元共和党全国委員会の委員長で、弁護士のマイケル・スティール氏は、ハバ氏は使命を理解していないと批判。「彼女は自分の使命が何なのか理解できていなかったようだ。クライアントに驚くほどの金額を負わせることになったと思う」と語った。

今月中旬には、キャロル氏の1回目の裁判やポルノ女優への口止め料支払いに絡むマンハッタンの刑事事件に関わっていたベテラン、ジョー・タコピナ弁護士がトランプチームから離脱した。

タコピナ氏は、トランプ氏の法的チームで最も実績のある弁護士の一人とされ、元メジャーリーグのスター選手アレックス・ロドリゲス氏やFoxニュースの大物司会ショーン・ハニティ氏、ラッパーのA$AP Rockyなど、数々の著名人の代理人を務めている。離脱の理由は明らかにされていない。

先述のTruth Socialの投稿に話を戻すと、トランプ氏は、キャロル氏の訴訟を担当するルイス・カプラン判事を「クリントンによって指名された非常に党派に偏った、トランプ嫌い」と批判。「いじめっこであり、1度ならぬ2度も審理をもとめ、デュープロセスを拒否し、私に重要な証拠を提出させず、私が証言台に足すことを許されたのはわずか数分間だった・・・・・」と長々と非難を続けた。

その上で、「このすべてのインチキはアメリカの司法制度に対する恥だ」と主張。「トランプ事件を担当する弁護士は、クレイジーか真のアメリカ愛国者のどちらかだ。まもなく決断を下す」と宣言した。

トランプ氏に関わった弁護士といえば、古くはロイ・コン氏から、ルディ・ジュリアーニ氏まで個性派揃いで知られる。はたしてこれらを超える逸材が現れるだろうか。