トランプ氏の動向を長く取材しているジャーナリストによると、大統領の仕事のスタイルは、第1期目と「驚くほど」変わっていないという。
雑誌ニューヨーカーのポッドキャスト番組にゲスト出演したCNNのホワイトハウス担当記者、ケイトラン・コリンズ氏は、「スケジュールや仕事のやり方に関して、トランプ氏は変わっていない」と説明。午前中は「あまり何もしない」と述べ、「(SNSの)投稿をしているかもしれないが、ミーティングや記者会見、その他のことはあまりやらない」と続けた。
午後になるとエンジンがかかり、それに応じて記者の仕事も慌ただしくなる。「午後はかなり忙しく、40分や45分間の記者会見に出ることもある。ここでの見出しが何になるのか、本当に注意を払わなけれならない」と語った。
また、夜は「(トランプ氏は)あまり寝ていない」と指摘した。
エグゼクティブタイム
第1期目では、トランプ氏のスケジュールに「エグゼクティブタイム」と称する、「組織化されていない」時間の存在が話題になった。
2019年にAxiosが報じたところによると、トランプ氏の過去3ヶ月のスケジュールの60%以上が「エグゼクティブタイム」に充てられていた。ほとんどがその時間で占められていることもあり、1時間のミーティングを除いてエグゼクティブタイムが7時間に及ぶ日もあった。
ちなみにエグゼクティブタイムとは、トランプ氏が「考える時間がない」と不平をもらしたことから、2人目の首席補佐官、ジョン・ケリー氏が設けたものだった。
同サイトはまた、関係者の話として、トランプ氏はスケジュール上では毎日午前中の午前8時から11時まで大統領執務室にいることになっていたが、事実は異なっていたとも報じた。朝6時に起床するトランプ氏は、執務室に行く代わりに、午前中は公邸でテレビや新聞を読み、見たり読んだりしたことに応じて補佐官や議員、友人、政府関係者、非公式のアドバイザーに電話などしていた。
エグゼクティブタイムが政権運営にどのような効果をもたらしたか不明だが、当時大統領報道官だったサラ・ハッカビー・サンダース氏は、「よりクリエイティブな環境」が、トランプ氏を「近代史上最も生産性の高い大統領にするのに役立っている」と擁護していた。
トランプ氏のスタイルが、細かいスケジュール管理に適さない可能性もある。ある高官は、トランプ氏の会議の多くが「とっさの思いつき」だったと明かした。また、リークされる恐れから、ホワイトハウスのスタッフに知られたくないミーティングを、エグゼクティブタイムの中に潜り込ませることもあったという。
トランプ氏のこうした仕事に対する姿勢は、大統領職に限ったことではない。不動産事業で絶頂を迎えた80年代に出版した自伝『The Art of the Deal』では、「多くの人々が私の仕事の仕方を見て驚く。私は非常に緩やかにしている。ブリーフケースを持ち歩かない。会議をあまり多く入れないようにしている」と説明。「組織化」しすぎると、「想像力や起業家精神を発揮できない。毎日出勤して、その日何が起こるかを見るのが好きだ」と理由を挙げた。
早起きで夜更かし気味の習慣も変わらない。毎朝6時に起きて、1時間ほど新聞を読んでから9時にオフィスに到着。オフィスでは50件、ときには100件を超える電話をかけ、その合間に「突発的」に発生する会議をこなし、家に帰ってからも深夜まで電話をかけ続けることがあると語っている。