バイデン撤退論 オバマ氏が裏で画策?TV司会が主張

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バイデン氏に選挙からの撤退を求める議論を仕掛けているのは、かつてのボス、オバマ元大統領ではないか?。そんな憶測が飛び交っている。

MSNBCの朝のニュース&トーク番組「モーニング・ジョー」で、共同司会のミカ・ブレジンスキー氏は、ニューヨークタイムズに寄稿された俳優ジョージ・クルーニーのオプエドについて、本人によるものではないと主張した。

夫のジョー・スカボロー氏から「どう意味?マット・デーモンだと思ってるの?」と冗談混じりに聞かれると、「バラク・オバマが多大な影響力を持っていて、そこには多くのものがあると思う」と、撤退議論の背後にオバマ氏があるとの考えを示した。

クルーニー氏は10日、タイムズに寄せた記事で、バイデン氏を愛する友人であるとしつつ、3週間前にイベントで出会った大統領は「2010年の大物ではなかった。2020年のジョー・バイデンでさえなかった。討論会でみんなが目撃したのと同じ人物だった」と衰えを指摘。民主党指導者は「大統領に自主的に撤退するよう求めなければならない」と訴えた。

同氏は先月ロサンゼルスで開かれ記録的な資金調達に成功したとされるバイデン氏の応援イベントに、オバマ氏らと並んでゲスト出演していた。

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記事ではさらに、バイデン氏は11月の選挙に勝利できないどころか、民主党は上下両院を失うと主張。バイデン氏に代わる可能性として、メリーランド州のウェス・ムーア知事、カマラ・ハリス副大統領、ミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事、ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事、イリノイ州のJ・B・プリツカー知事の名前を挙げ、「ジョー・バイデン氏はヒーローであり、2020年に民主主義を救った。2024年も彼に同じことをしてもらいたい」と締めくくった。

なお、バイデン氏への不安を煽るきっかけとなった先月の大統領選討論会後、オバマ氏はXの投稿で「悪い討論会の夜もある」とバイデン氏のパフォーマンスの悪さを認めつつ、2024年の選挙が、真実を国民に語る者と自己の利益のために嘘をつく者の二者択一であることに変わりはない、とバイデン氏への支持を呼びかけていた。

先述の番組中、スカボロー氏は、「バイデン陣営と多くの民主党関係者は、バラク・オバマが舞台裏で密かに画策していると信じている」とも説明。「ジョー・バイデンがそう信じているなら、選挙戦から早々に撤退することはないだろう。デビッド・アクセルロッドが彼を攻撃するたびに、ジョー・バイデンがまたしても奮い立たせることが確実にする…」と語った。

アクセルロッド氏は、2008年選挙でオバマ陣営の主席戦略官を、その後ホワイトハウスで大統領上級顧問を務めた。早くからバイデン氏の脆弱性に強い警戒感を示していたうちの一人で、先週CNNに寄せたオピニオンでは「バイデン氏は、無法者で不人気の前大統領に大敗する可能性が高い」「バイデン氏が述べる通り、賭けられたものはあまりにも大きすぎる。彼がそのように信じているのならば、最終的に義務と愛国心が要求する行動をとり、退くだろう」と撤退を促した。クルーニー氏の記事については、11日、同局の番組で自ら一部を読み上げた上で、「これは衝撃的だ」と語った。

バイデン氏は8日に同番組に出演しており、その際に「私は逃げない」と宣言。撤退の求めに応じない姿勢を明確にする一方で、撤退論を持ち出す「民主党のエリート」に「苛立っている」と不快感を示していた。

なお、米政治サイトのポリティコは、クルーニー氏は記事の発表に先立って、オバマ氏に連絡を取り、事前に知らせていたと伝えている。

2016年のトラウマ?

2016年の選挙では、バイデン氏の出馬断念にオバマ氏が一定の役割を果たしたとされる。当時ニューヨークタイムズは、オバマ氏は自身のスタッフを通じて選挙の厳しい評価を伝えるなどし、バイデン氏が自ら辞退の決断をするように促し、バイデン氏も「大統領は励ましてくれなかった」と認めたと報じた。

結果、ヒラリー・クリントン氏が候補者となったが、勝利は確実との予想に反し、民主党はトランプ氏に政権を奪われた。

トランプ政権スタートから数ヶ月後、バイデン氏は自分であれば勝利できたであろうと述べ、出馬しなかったことへの後悔を語っていた