世界有数の食品企業の御曹司が、酒に酔って他人の家で寝ていたところを現行犯逮捕されるという珍事があった。
逮捕されたのは時価総額240億ドル(約3兆5000億ドル)の米食肉加工最大手タイソン・フーズの最高財務責任者(CFO)、ジョン・R・タイソン容疑者(32)。警察の捜査報告書によると、6日午前2時頃、アーカンソー州ファイアットビルに住む女性から「自宅で見知らぬ男が寝ている」と通報があり、警察が駆け付けたところ、奥の寝室で寝ているタイソン容疑者を発見した。ベッド脇には脱ぎ散らかされた容疑者の衣服があり、運転免許証が見つかったことからタイソン容疑者の身元が分かったという。
女性の自宅は同州スプリングフィールドのタイソン・フーズ本社から約16kmの距離にあり、当時自宅の玄関には鍵がかかっていなかった。
警察は容疑者を起こそうとしたが容疑者はしばらく反応せず、一旦体を起こしたもののすぐに横になって眠り始めたという。対応にあたった警察官は、容疑者の呼気と体からは酒のにおいがし、動きものろのろとして体をコントロールできない様子だったと報告している。
タイソン容疑者は不法侵入と公然酩酊の容疑で逮捕され、一時ワシントン郡拘置所に拘留されたが、6日夜までに釈放されている。
メディアでは、留置施設で身体検査を受ける様子などが報じられている。
タイソン容疑者は、タイソン・フーズの現会長、ジョン・H・タイソン氏の息子で、同社創業者のジョン・W・タイソン氏のひ孫にあたる。スタンフォード大学でMBAを取得後、JPモルガン・チェースを含む投資銀行やベンチャーキャピタルを経て2019年9月にタイソン・フーズに入社。副社長およびChief Sustainability Officer(最高サステナビリティ責任者)を務め、先月2日からはCFOも兼任している。将来は食肉業界をけん引するリーダーとして、CEOか会長に就任すると期待されていた。
7日、タイソン容疑者は社内メールで「自分の行動を恥じている。私自身の価値感や会社の価値感、タイソン・フーズ社で互いに抱く高い期待とは相反するものだった」と謝罪。今後アルコール乱用についてカウンセリングを受けるとしている。