米軍は地球外技術を取得している? 国家ぐるみの情報の隠蔽工作が行われている?
13日に元政府関係者やジャーナリストを招いて開催された下院監視委員会の小委員会による議会公聴会では、そんな議論が交わされた。
海軍気象海洋学司令部の元司令官、ティム・ギャローデット氏は、オープニングステートメントで、「UAP(未確認異常現象、UFOを含む最近の呼称)が人類と交流していることは、私が司令官を務めていた2015年1月に確認された」とした上で、当時行われた海軍の演習中に起きた事件について語った。
同氏によると、USSセオドア・ルーズベルト空母打撃群が参加した同演習の最中、「海軍の安全なネットワーク」を通じて、「緊急の飛行安全問題」と題されたメールが、艦隊司令部の作戦部長から指揮官らに送信された。内容は、空中衝突のニアミスが複数回発生しており、直ちに解決しなければ、演習中止を余儀なくされるというものだった。メールには、後に「Go Fast」の名で知られることになる、F/A-18機の赤外線カメラが捉えた海上を高速移動する物体が映るビデオが添付されていた。
ところが翌日になると、メールがアカウントから消滅したという。さらに、こうした問題を話し合うために特別に設けられた定例の会議でさえ、艦隊司令官らが同現象について議論することは二度となかった。
このことから、ギャローデット氏は、UAP情報は情報機関が管理する特別プログラムによって機密扱いされているに違いにないとの結論に至ったと説明。昨年開催された議会公聴会を踏まえ、こうした情報は、自身を含む上級職員や議員から隠蔽されているだけでなく、UAPに関連する内部告発者の信用失墜を狙った個人攻撃や偽情報キャンペーンも行われていることが確認されたと主張した。
なお、Go Fastについて、NASAは昨年発表した報告書で、物体が異常な速度で移動しておらず、単に「風に流されていた可能性が高い」と分析結果を公表。推進システムの存在を示す熱の証拠も示されていないと報告している。
国防総省の元職員で、現在メディアパーソナリティを務めるルイス・エリゾンド氏は「UAPはリアル」であり、「われわれの政府や他国の政府によって作られたものではない先進技術が、機密性の高い世界中の軍事設備を監視している」と主張。「米国はUAP技術を所有しており、敵国も同様である。われわれは、数十年間におよぶ秘密の軍事競争の真っ只中にある」と語った。
さらに、UAPに関与する「政府を所有する少数の幹部」が「抑圧と脅迫のカルチャー」を作り出し、自身を含む同僚らがその被害に遭ってきたと明かした。国防総省と情報機関の監察官に機密情報を証言したのち、キャリアやセキュリティ許可、命まで脅かされる経験をしたという。
議員との質疑応答では、政府は秘密裏に墜落したUAPの回収プログラムを実行しており、それはリバースエンジニアリングを目的とするものだと答えた。また、UAPに関連する事故で負傷した複数の職員に関する記録を目にしたことがあるとも語った。
ジャーナリストのマイケル・サレンバーガー氏は、元政府職員だとする内部告発者によるレポートを提示するとともに、「Immaculate Constellation」と呼ばれる政府の秘密プログラムの存在について語った。
説明によると、同プログラムは、UAPに関するさまざまな収集プラットフォームを統合したもので、議会による承認を受けずに極秘裏に進められている。低軌道衛星や海洋に配置された設備から得られた高品質の画像情報、測定値や特徴に関するインテリジェンスが含まれるという。
その中には、F-22戦闘機が約3~6機のUAPに囲まれ、パトロールエリアから追い出された事件や、海軍の航空母艦の乗組員が「小さなオレンジがかった赤い球体」が高高度から甲板近くに急降下するのを目撃した事件に関する情報があると語った。
透明性を要求
エリゾンド氏は、UAPの問題について政府の連絡窓口を一本化するべきだと主張。ホワイトハウス、CIA、NASA、国防総省、エネルギー省などの各機関がそれぞれに役割を果たす中で、主導するものがなければ権力の抑制が効かず、腐敗につながる恐れがあると訴えた。また、国民の信頼回復のために、国家のUAP戦略に学術界や科学界、民間部門、同盟国を含めるべきだとしたほか、内部告発者を保護する環境整備が必要だと指摘した。
サレンバーガー氏は、国防総省は情報開示の要求に近年ますます拒絶的な姿勢を強めていると非難した。「ペンタゴンと情報コミュニティーはわれわれを子供扱いしている。われわれが真実を知るべき時だ」と語った。