ニューヨーク市タクシー&リムジン委員会(TLC)は4日、ウーバー(Uber)やリフト(Lyft)、ヴィア(Via)などの配車サービスの運転手に最低賃金を保証する新たなルール「Driver Income and Transparency Rules」を、投票で可決したと発表した。新たなルールが採用する計算式では、運転手に時給17.22ドル(約1,950円)が保証されることとなる。
配車サービスの運転手に最低賃金が保証されるのは全米初。新ルールは1月より適用される。VOXによると、現在の平均時給は11.90ドルで、新ルールの導入により、経費清算後に運転手に支払われる賃金は、現在よりも5ドル以上高い。TLCによると、8万人の運転手の収入が増加し、96%の運転手の年間収入は1万ドル(約113万円)増加するという。
配車サービスの運転手は、従業員ではなく独立業者とみなされ、最低賃金は適用されてこなかった。新ルールは運転手にとってこの欠陥を補うものとなる。ニューヨーク市では2018年末に最低賃金が時給15ドル(約1,695円)に引き上げられる。給与税(ペイロール)の支払いや有給休暇を勘案すると、時給17.22ドルにより、ドライバーには市の最低時給と同程度の額が保証されることとなる。
ニューヨーク市における配車サービスの利用回数は今年5月、1,800万回を記録し、3年前の同時期と比べ6倍増加している。
ウーバーは値上げを示唆
TLCの発表を受け、ウーバーとリフトの両社は、運転手の生活費は支援すると発表したが、運賃値上げの可能性を示唆した。
ウーバーの広報担当者ジェイソン・ポスト(Jason Post)氏は声明で「TLCの運転手の収入を増加させる規制は、マンハッタンのビジネス中心区において、渋滞に対処する機会を損失するだけでなく、乗客にとって必要以上の運賃の上昇をもたらすだろう」と述べた。
TLCのミーラ・ジョシー(Meera Joshi)会長は、「新たなルールにより、ドライバーの年収は平均で約1万ドル(約113万円)増えるだろう。」と述べ、「ニューヨーカーは多少の値上げでも支払い、多少の時間を待つだろう。そのことで、ドライバーは自身や家族を養うことができる。」と語っている。
ニューヨーク市は8月、経済効果を測定するため、配車サービスの新たなライセンスの停止を1年間凍結する法案を、全米で初めて可決した。