米運送大手 UPSが自動運転トラック開発企業に投資&試験輸送を実施

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米運送サービス大手のUPSは15日、同社のベンチャーキャピタルUPS Venturesを通じて、自動運転トラックのスタートアップ、TuSimpleの過半数未満の株式を取得したことを発表した。

投資規模は公表されていない。TuSimpleは2月、中国のネットサービス大手の新浪公司(SINA Corporation)がリードした昨年12月のシリーズDラウンドで、9,500万ドルの資金調達を完了したと発表し、企業価値評価が10億ドルになったと報じられていた。

UPSは同時に、5月から「レベル4の自動トラックの深い理解を目的」に、テキサス州フェニックスとアリゾナ州タスカン間で試験運転を開始していると発表した。

UPSのスコット・プライス最高戦略責任者は、自動運転技術は発展途上で、規制整備はまだ先であるとしつつ、TuSimpleの技術が、「重要な安全性とその他の利点を提供する」と述べた。自動運転が実現する時点で、「UPSは自社で新技術を展開するリーダーとして存在する」と語った。

Tusimpleは、ナビスター社のトラックを使用している。トラックにはライダーセンサーに加え、競合他社の3倍に相当する1,000m先を見渡すことができる9台の高性能カメラを装備している。

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トラック業界はいち早く自動化が実現

自動運転トラックは、ハイウェイなどの比較的予測のしやすい区間を走行することに加え、安全、燃料や人件費の削減といった大きなコスト削減につながるため、自動運転タクシーよりも早く実用化が進むと考えられている。一部の試算では、貨物運送の自動化は年間1,680億ドル(17兆8,000億円)のコスト削減をもたらすとされる。またドライバーの過酷な労働環境や慢性的な人手不足が、開発に拍車をかけている。

米国郵便公社(USPS)は今年5月、TuSimpleとダラス-フェニックス間で2週間の運搬試験を行っている。またアマゾンは、Googleの自動運転車開発プロジェクト出身のChris Urmson最高経営責任者による自動運転のスタートアップ企業、オーロラ(Aurola Inovation)に出資した。このほか、Waymo、Kodiak、Embark、Starsky Roboticsといった企業が自動運転トラックの開発を進めている。

貨物輸送の自動化は莫大な経済利益を生み出す一方、労働市場への影響とその対策の必要が叫ばれている。

ユニバーサルインカムを公約に掲げる2020年大統領選の民主党候補の1人、アンドリュー・ヤン氏によると、トラック・ドライバーは米国で最も人口の多い職業の一つで、全米で350万人のドライバーが存在する。オートメーションによってこれらの仕事が大きく消滅する。さらにドライバーの消滅は、ハイウェイ近くのモーテルやレストランなど、周辺ビジネスにも大きな影響を与える。