アカデミー賞授賞式を週末に控える中、昨年の興行収入トップを獲得した「トップガン:マーヴェリック」をノミネートから外すよう求める声が上がった。
異議を唱えたのは、国外のウクライナ人やコミュニティを支援する非政府組織「ウクラニアン・ワールド・コングレス」は7日に公開した映画芸術科学アカデミーに宛てた書簡で、トップガンのノミネートに関し、「ロシアの影響力について深刻な懸念」があると説明した。
ウクライナの制裁対象とされているロシアのオリガルヒ、ドミトリー・リボロフレフ(Dmitry Rybolovlev)が映画に資金を提供したと報じられているとした上で、同氏の関与が、ロシア政府による「検閲につながった可能性があると信じるに足る理由がある」と主張。続編映画では、ロシアに対する直接的、間接的な言及がなかったとし、「偶然の一致とは言い難い」とも指摘した。
「ハリウッドは、ロシアの資金が親ロシア的な検閲に使用されることに注意を怠ってはならず、透明性を確保しなければならない」と述べ、トップガンを参加対象から除外するよう求めた。
12日に開催される授賞式では、同映画は作品賞を含む6部門にノミネートされている。
ロサンゼルスタイムズは1月、米国の制作兼資金調達会社のニュー・リパブリック・ピクチャーズを通じて、リボロフレフ氏が作品の出資に一役買った疑いがあると報じた。
疑惑は、同社のブラッドリー・フィッシャー元代表が、契約を巡って会社を訴えた裁判から浮上したもので、同氏はその中で、リボロフレフ氏の資金が会社の活動にとって極めて重要な役割を果たしてきたと明らかにした。
同社は2020年、トップガン続編やミッション・インポッシブル7を含む10作品について、パラマウントとの間で共同出資契約を締結している。
リボロフレフ氏は、カリウム肥料事業で財を成したことから「ロシアの肥料王」の異名を持つ。2011年にモナコのサッカークラブ、ASモナコを買収し、会長に就任している。2008年には、トランプ前大統領からパームビーチの物件を9,500万ドルで購入した。本人は一度も訪れたことがなく、土地はすでに売りに出されたと報じられている。なおトランプ氏とは仲介者を通じて取引をしたとされており、面識はないという。アートコレクターとしても知られ、純資産は66億ドルとも報じられている。