250億ドル(約2兆8000万円)を投じたメガプロジェクト、「ハドソン・ヤード」(Hudson Yards)の一部が15日、オープンした。
敷地でひときわ目を引くのが、ブロンズ色に輝く巨大なパブリックアート「ベッセル」(Vessel)だ。設計は英国のデザイナー、トーマス・ヘザウィック(Thomas Heatherwick)氏によるもので、建設にかかった費用は2億ドル(220億ドル)といわれる。内部には無数の階段が設置され、様々な角度から景色を眺めることができる。
入場は無料だが、予約が必要となる。現在、予約が殺到しており、予約サイトにリーチするのにも数十分待たなければならない。
ニューヨークの新たな名所として期待されるベッセルだが、利用者の撮影した写真やビデオに関する利用規約が行き過ぎとの声が上がっている。
デイリー・ビーストの記者のScott Bixby氏はツイッターで、ベッセルは「どこにもつながっていない2億ドルの階段が、内部で撮った全ての画像を所有している」と利用規約に疑問を呈した。
規約の一部によると、ベッセルに関する写真やビデオについては、セルフィーでさえ、撮影者はベッセルに対して、「無制限、世界的な、ロイヤリティーフリー、永続的な権利とライセンス」を許諾することとなる。さらにベッセルは、広告やプロモーション目的で人物の「名前、肖像、声」を利用することができる。
また別のパートによると、利用者が撮影または投稿したベッセルが関係する画像や動画について、ベッセルは目的に関わらず表示やコピー、改変、出版することができる。一方、利用者はベッセルの書面による同意なくして、撮影した作品を商業目的で利用してはならないとなっている。
全米報道写真家協会の法律顧問、Mickey H. Osterreicher氏は、地元ニュースサイト、ゴッサミストのインタビューに対し、これらの条項を”行き過ぎた権利”と呼び、「彼らが要求していない唯一のことは素材に関する著作権だけだ。」と語った。同氏は、ベッセルは利用者が作成したコンテンツを所有しないことは明確であるとしつつ、作成者に商業目的の利用を制限しながらも、特別な同意なしで、様々な方法で商売に利用できる幅広いライセンスをベッセル側に与えていると語った。