15日、アッパーマンハッタンにあるモーニングサイドパークでは、11日に公園で殺害されたニューヨーク市のバーナード大学(Barnard College)の学生、テッサ・メジャーズ(Tessa Majors)さんの追悼会が行われた。集会には、地元住人や学生ら数百人が参加し、キャンドルを手に黙祷を捧げたほか、市や州議会議員など、コミュニティーの指導者がスピーチを行った。
マーク・レヴィン市議会議員は、13歳と14歳の容疑者が拘束されたことに触れ「悲劇をさらに悪化させた」と語り、「テッサさんだけでなく、このコミュニティの子供についても失敗してしまった。我々は近隣のすべての子供が、愛のあるコミュニティで成長できるようにしなければならない」と述べた。また、公園は以前よりかなり安全になっていると述べるなど、治安の改善を強調。悲劇を「差別的な取り締まり手法」を求める「分断しようとする声」に利用されてはならないと語った。
かつて「強盗公園」と呼ばれていた同公園は、ここ20年ほどは治安が改善していたが、今年の犯罪件数は増加していたという。NYタイムズによると、昨年の公園内の強盗事件は7件だったが、今年は20件発生していた。6月以降、メジャーズさんが被害にあった階段付近では5件の強盗被害が報告されており、同じ手口の強盗を繰り返していた複数の少年が逮捕されているという。
マンハッタン区のゲイル・ブリュワー区長はより多くの街灯の設置や監視カメラ、パトロールプログラムの必要性を主張。ブリュワー区長は「拙速な判断をしてはならない」と述べ、事件は過去の治安の悪い時代に戻ったことを示しているのではない、と語った。
アドリアーノ・アスピアート連邦議会下院議員は、ドラッグ・ウォーの時代に戻ってはならないと述べ、警察の増員、パトロールプログラムの復活、街灯の増加を訴えた。
イダ二ス・ロドリゲス市議会議員が「我々は人種隔離された都市に住んでいる」と述べるなど、格差や人種不平等の問題について話すと、参列者から、「これは政治キャンペーンではない」と非難の声が上がる場面があった。
テッサ・メジャーズさんは11日午後5時半ごろ、モーニングサイド・パークで強盗に遭い、ナイフで複数回刺された。メジャーズさんは刺された後、助けを求めてコロンビア大学の警備員のブースまで自力で階段を上がったという。警備員が通報したが、メジャーズさんは搬送先の病院で死亡が確認された。
ニューヨーク市警察は12日、13歳の少年を拘束。少年の証言から犯人は本人を含む3人であったことが判明した。翌日には14歳のもう一人の少年を逮捕した。ニューヨークタイムズによると、まだ拘束されていない3人目の少年が刺した人物だと考えられている。その後、ニューヨークポスト紙は、14歳の少年は証拠不十分によって起訴を取り下げられ、釈放されたと報じている。