ロシア「死の商人」米国でのムショ暮らしを語る

305

米女子プロバスケットボールのブリトニー・グライナー選手との囚人交換により、イリノイ州マリオンの刑務所から釈放されたロシア人武器商人、ビクトル・ブート氏。ロシアに帰国後、国営メディアRTの取材に応じ、西側は「ロシアを再び破壊できると考えている」などと話した。

インタビュアーは、かつて工作員として米国で収監され、現在は議員として頭角を現しつつあるマリア・ブティナ氏が務めた。

14年の刑務所生活から解放されたブート氏は「感情を伝える言葉を見つけなければならない」と、気持ちの整理に時間を要する様子を示しつつ、西側は「1990年でわれわれを終わらせた」と考えておらず、「われわれを再び破壊し、ロシアを分割できると信じている」と主張。「ある種の内戦」が始まるよう、多国籍の人々の争わせ、領土を支配しようとしているなどと話した。

一方、刑務所では「ロシア人嫌悪」といった差別を受けることはなかったと説明。マリオンは「伝統的にアメリカの”レッド・ベルト”に位置しているからだ」とロシアに好意的な地帯にあると述べ、受刑者のほぼ全員が、「ロシアになんらかの同情を抱いていた」と語った。

2005年の映画「ロード・オブ・ウォー」でニコラス・ケイジ扮する武器商人ユーリ・オルロフのモデルとされるなど、ハリウッドで「レジェンド」扱いされていることに関して、「私に尋ねてくれたら、もっと面白い話しを思いついた」と述べた上で、「ハリウッドは、”ワシントン地域委員会”の宣伝局に成り下っている」と加えた。

Advertisement

アメリカのムショ暮らしは?

刑務所の暮らしについて「何もかもを奪われる」環境だと語り、ナチスを彷彿とさせるような、「人間の意思を破壊する」指導方針が取られていたと話した。

最も過酷だったのは「愛する人と連絡が取れなかったこと」と吐露。外部に連絡することが許されたのは「1カ月にたった1回だけ」で、それも弁護士との話し合いに費やすことが多く、「友人や家族と話ができなかったこと。それが最も辛かった」と語った。

「『パニックになったところで何になる?』と自分に言い聞かせることが、やり過ごすための唯一の方法だった」としたほか、読書や語学の習得に時間を使って気を紛らわせていたが、ある時から毎日1日の始まりに5分間大声で笑って鬱と闘うようになったと告白した。

さらに、「これはゲームだ」と現実逃避しながらやりすごそうとしたが、「これはゲームだと思った途端に、すべてが覆される」と、囚人が正気を保っている様子が看守を怒らせるのだと主張。「囚人が狂わないと、彼らは食事を持ってこないし、電気を付けっぱなしにする」と、看守から嫌がらせのような仕打ちを受けたと語った。

食事については、食べられたものではなく、米国移送前に2年間過ごしたタイの刑務所の食事の方がましだったと酷評。収監生活で「米国の食べ物への興味を失い」、食事が食べられないせいで「日ごとに痩せていった」と明かした。

Mashup Reporter 編集部
Mashup Reporter 編集部です。ニューヨークから耳寄りの情報をお届けします。