数々のセレブのポートレートを手がけてきた写真家アニー・リーボヴィッツ(72)が撮影した米最高裁判事ケタンジ・ブラウン・ジャクソン氏の写真に、ネットで非難の声が上がった。
写真は、雑誌Vogue(ヴォーグ)のために撮影されたもので、1年でもっとも注目度の高い9月号「セプテンバー・イシュー」に掲載される予定。
ちなみにバイデン大統領の指名を受けたジャクソン判事は、今年6月、黒人女性として初めて連邦最高裁判事に就任。10月から審理に加わる。
批判された写真は、リーボヴィッツが16日、掲載を前に自身のツイッターに投稿したもので、首都ワシントンのナショナル・モールで、リンカーン像やプールをバックにポーズをとる、ジャクソン判事の姿が撮影されている。
リーボヴィッツはこれまで、体操選手のシモーネ・バイルズや女優のヴィオラ・デイヴィス、女子テニスのセリーナ・ウィリアムズ、リアーナなど黒人の著名人を撮影してきたが、被写体が魅力的に見えないと非難されてきた。
ライターのアレクシス・オートマンは、過去の写真をコラージュし、「罪を償うべき」とツイート。
コラムニストのタヨ・ベロはガーディアン紙に掲載したオピニオンで、リーボヴィッツの「薄暗く、低照度の美学」は、白人ではうまくいくが、黒人では機能しないと指摘。これまで撮影された黒人のポートレートも「光沢感のない、灰色で、苦痛に満ちた表情で、彼らが普段見せる生き生きとして美しい姿とかけ離れている」とこき下ろした。さらに、リーボヴィッツは黒人の被写体を「ダークな審美眼」で捉えており、「真の美しさを表現することはできない」と続けた。タイラー・ミッチェルは2018年、Vogueの128年間の歴史で初めて、黒人カメラマンとして表紙を撮影したが、「この事実こそが恥ずべきこと」であり、「人材の確保が多様性に欠けている」と同誌が抱える問題点を指摘した。
なおリーボヴィッツは先日、ウクライナの首都キエフで、ファーストレディのオレナ・ゼレンスカ氏を撮影したが、「戦争を背景」にファッション誌の撮影を行ったとして、「不適切」との批判が殺到したばかりだ。