米食品医薬品局(FDA)は21日、新たに女性の性欲低下障害(Hypoactive sexual desire disorder:HSDD)の治療薬を承認した。
新薬「bremelanotide」(商標名:Vyleesi)はPalatin Technologiesが開発し、Amag Pharmaceuticalsが販売する。HSDD治療薬の承認は、2015年の経口薬「フリバンセリン」(商標名Addyi)以来、2番目。閉経前のHSDDに悩む女性を対象とする。
Addyiが日常的に服用する薬であるのに対し、Vyleesiは、性行為の45分前に自動注射器を使用して投与する。FDAは、使用は24時間以内に1回に限り、月に8回以上使用しないこととしている。
性器の血流を改善する男性のバイアグラと異なり、Vyleesiは、身体の性的反応に関係する脳内の経路を活性化させるという。
またAddyiではアルコールを控えなければならないが、Vyleesiではアルコールの摂取の制限はされてないなどの利点がある。一方、臨床試験では投与後に40%が吐き気を経験するなどの副作用が報告されている。さらに、Vyleesiを使用した患者の1%は歯茎や皮膚の一部が黒くなったと報告しており、その半数は治療中止後も消えなかったという。また。高血圧または心疾患の患者は使用するべきではないとしている。
Palatin社は承認によってAmag社から6,000万ドル(66億円)を受け取るほか、販売が一定量に達した際に、段階的に3億ドル(330億円)を受け取る。業界の調査では、HSDDの女性の95%が症状が治療可能であることを知らなかったという。Guardianによると、市場関係者の間では、HDSS治療薬の市場は年間10億ドルになるといわれている。