昨年の民主党大統領選予備選に出馬したエリザベス・ウォーレン上院議員は(民主党 マサチューセッツ)8日、アマゾンのアンディ・ジェシー最高経営責任者に送った書簡を公開し、アルゴリズムを直ちに審査し、ワクチンの誤情報が含まれた本に消費者がどの程度誘導されているかについて、パブリックレポートを作成するよう求めたと発表した。
ウォーレン氏のスタッフらが先月、「COVID-19」「COVID」「vaccine」「COVID 19 vaccine」といった用語で検索をする調査を行なったところ、ワクチンと治療法に関して、虚偽に基づいた本が上位に継続的に表示されたという。中でも、誤情報の強力なインフルエンサーとして知られる医師のジョセフ・メルコラ氏による書物が繰り返しトップに表示されたという。
ある時トップ表示されたのはメラコラ氏とロニー・カミンズ氏による「The Truth About Covid-19: Exposing the Great Reset, Lockdowns, Vaccine Passports, and the New Normal」と題した本で、ベストセラーとしてタグ付けされていた。なお「政治自由」カテゴリーでは、「#1ベストセラー」となっていたという。
本には「コロナに関する危険な陰謀論と、ワクチンに関する虚偽、誤情報」が書かれており、「ビタビンCとビタミンD、ケルセチン、メルコラ氏のウェブサイト販売されているサプリ」で感染を予防できるなどと主張しているという。
デジタルヘイト対策センター(CCDH)は3月、ソーシャルメディアで拡散されている反ワクチンコンテンツの3分の2は、影響力のある12人に起因するものだと報告した。この中には、メルコラ氏やロバート・F・ケネディ・ジュニア氏、シェリ・テンペニー氏ら名前が挙げられている。
このほか検索上位には、ワクチンが「人々を病気にして、殺す」といった主張、シェディング(ワクチンを接種した人からウイルスがうつるというデマ)、イベルメクチンを治療薬として宣伝するような書物が表示されたという。
ウォーレン氏は書簡で、「アマゾンで発見した誤りかつ不正確な情報をもとに、本人や隣人の健康を危険にさらす」よう、アルゴリズムが「潜在的に無数のアメリカ人を導いている」と指摘。アルゴリズに対するレビューを実施し、消費者が誤情報に誘導される程度と、修正計画について14日以内に報告書を作成するよう要求した。
このほか、民主党の重鎮、アダム・シフ下院議員(カリフォルニア)もアマゾンに送った書簡を公表。この中で、「最近の調査が示すところでは、アマゾンのアルゴリズムは、反ワクチン製品を促進している」と指摘。アマゾンは「反ワクチン情報のセンセーショナリズム」によって「直接利益を上げている」と批判した。
シフ議員は、アマゾンのガイドラインを疑問視しており、手紙では、公衆衛生の危機にもかかわらず、ワクチンの誤情報に関するコンテンツガイドラインが不在だと主張。「消費者に多様な視点へのアクセスを提供している」という言い訳は、「虚偽情報の販売を正当化できない」と牽制した。規制の検討のため、同社のポリシーについてさらなる詳細の提出を求めた。
ちなみに日本のアマゾンはどうだろうか。「コロナ」「ワクチン」で検索をすると、ロバート・ケネディ・ジュニア氏との対談を収めた書物などが上位に表示された。当サイトでは、Amazon.co.jpの広報に誤情報の拡散防止に向けた取り組みについて、メールで質問を送ったが、現時点で回答は得られていない。