ワシントンポスト(The Washington Post)紙は、初のスーパーボウルCMを放映すると発表した。
CMは、危機に直面しながらも、世界中で取材活動を行うジャーナリストにスポットが当てられる。第2次世界大戦から現在までの重大な事件とともに、真実を探求する記者の役割を紹介する。詳細は明らかにされていないが、殺害された記者や行方不明の記者が登場し、最後にはポストのスローガン「民主主義は、暗闇の中で死す」(Democracy Dies in Darkness)が現れる。
CMは、第4クォーターのツーミニッツウォーニングの直前に放送される。
ポストは、スーパーボウルでの放送後、公式サイトやSNSでCMを公開すると発表した。
ナレーションは名物編集長を演じたトム・ハンクス
ナレーションは、2017年公開作品『ペンタゴン・ ペーパーズ/最高機密文書』(The Post)でワシントンポストのベン・ブラッドリー(Ben Bradlee)編集主幹を演じたトム・ハンクス(Tom Hanks)が担当した。
USA TODAYによると、ポストのフレッド・ライアン(Fred Ryan)発行人は、社員に当てたメモの中で、昨年トルコのサウジアラビア総領事館で殺害されたサウジ記者のジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏や、シリアで6年以上行方不明になっている米国人記者オースティン・タイス(Austin Tice)氏、イランの刑務所で544日間服役したジェイソン・レザイアン(Jason Rezaian)記者の名前を挙げ「私たちの多くに関わる問題だ。」と述べた。
CMには、米国の戦場ジャーナリストで2012年に殺害されたメリー・コルビン(Marie Colvin)氏も登場する。コルビン氏は、今年公開された映画「A Private War」の題材となった。
ライアン氏は「ポストはこれらの凶悪な虐待を受けた唯一の報道機関ではない。昨年だけで、世界で64人の記者が殺害され、250人以上が投獄された。ただ、自分の仕事をしていただけで。」と加えた。
ポストは、先週スーパーボウルの広告枠を購入し、わずか1週間で製作した。今回のテレビ広告は、従来の購読予約を促すものとは目的が異なる。ライアン氏は「記者が日常生活の中で果たす役割、彼らが私たちに真実を知らせるために取るリスクについて、より広範なメッセージを届ける機会。」と述べた。
ポストが広告費として支払った金額は明らかにしていないが、CNBCによると、今年の広告費は30秒間で520万ドル(約5億6,000万円)に達したという。
ニューヨークタイムズは昨年のアカデミー賞受賞式で、真実の重要さを問う広告「The truth is」を放送した。CNNも「Facts first」の広告キャンペーンを実施中だ。