レンタルオフィス会社ウィーワーク(WeWork)のマンハッタンにおけるオフィス占有面積が、JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase & Co)を超え、民間企業の中で最大となったことが分かった。
不動産サービス会社、Cushman & Wakefieldによると、WeWorkは、先日、21 Penn Plazaに258,344平方フィートのオフィススペースを契約。JPモルガン・チェースのオフィス面積520万平方フィートの記録を更新し、530万平方フィートとなった。
2010年にニューヨークSoHoのワンフロアを借り、創業したWeWorkは、現在マンハッタンに50拠点のオフィスを有する。CBRE Group Incmによると、WeWorkは、Knotel Inc、Industrious Office、IWG PLCなどのレンタルオフィスプロバイダーの中で、最も急速な成長を遂げている。
オフィスプロバイダーは、ビルのオーナーとオフィススペースを契約し、1ヶ月から3年間まで範囲で、企業や個人にサブリースする。企業がオーナーと直接契約する場合、通常10年間もしくはそれ以上の期間での契約が必要となるため、フレキシビリティ性のあるWeWorkなどは、長期契約を避けたい借り手側にはメリットが大きい。
需要はスタートアップ企業以外にも拡大
ウォールストリートジャーナルによると、WeWork設立当初は、利用者の中心はスタートアップ企業だったが、最近は異なる傾向があるという。
現在WeWorkの成長を支えているのは、アマゾンや大手通信会社のベライゾン、リバテイ・ミューチュアル・インシュアランス・カンパニー、IBMなどの大会社だ。
ベライゾンのJohn Vazquez上級副社長は、WeWorkを活用する理由として、「素早くアクションし、短期間で市場に入り込み、才能ある人材を得ることが、より重要になっている。」と述べ、「使用したスペース分のみ支払えば良い。」と、短期リース契約のベネフィットを語っている。
ベライゾンは、ニューヨーク以外にもロサンゼルス、ダラスなどに短期フレキシブルリース契約でオフィスを借りている。現在54箇所のフレックス・スペース・オフィスで約6千人の従業員が働いており、その数を2021年には1万人まで増やす予定だ。
大会社の中には、移転やオフィスの改装、サテライトオフィスの開設時に利用する事例もあるという。
拡大するレンタルオフィス企業スペース
不動産サービス会社JLLによると、米国におけるコワーキングやフレックス・スペースのオフィス面積は、2010年の1,200万平方フィートから、現在5,900万平方フィートに拡大している。
一部には、オフィスプロバイダーの成長は、米国で長く続いている好景気に支えられているという意見もある。景気減速が始まると、空きスペースができ、新たな課題が出てくる可能性もある。
ヨーロッパを拠点とするレンタルオフィス企業リージャス(Regus PLC)は、ドットコムブームにより成長を遂げたが、それが終了した2003年に破産保護申請を行った。
WeWorkの資産価値は4兆円越え
2017年、ソフトバンクグループは、44億ドル(4,850億円)をWeWorkに投資し、同社の資産価値は200億ドル(2兆2,000億円)となった。WeWorkは、その後も資金調達を行っており、現在の資産価値は、400億ドル(4兆4,000億円)とも言われている。
同年秋には、米国最古のデパート、ロード・アンド・テイラー(Lord & Taylor)は、五番街のフラッグシップ店の建物を、WeWorkのジョイントベンチャーに8億5000万ドル(約930億円)で売却すると発表した。
同社の発表によると、今年ロンドンにおいても、最大のオフィススペースを有する民間会社となっている。