コリン・カール政策担当国防次官は1日に開いた会見で、バイデン大統領が、7億ドル(900億円)の武器や装備をウクライナに提供するよう指示したと発表した。
バイデン大統領は31日にニューヨークタイムズに投稿したオプエドで、標的をより正確に爆撃できる高度なロケットシステムと弾薬を提供することを決定したと発表していた。
発表によると、今回提供されるものは、ハイマース(HIMARS)とよばれる高機動ロケット砲システム4基と射程距離70kmの誘導弾、対砲兵レーダー5台、航空監視レーダー2台、ジャベリン(対戦車ミサイル)を追加1,000個と発射指揮装置50台、155ミリ砲弾1万5,000発、MI-17ヘリコプター4機、軍用車両15台。
カール氏は、ハイマースはウクライナからの要望が最も高かったもので、ウクライナ側は防御目的以外に使用しないことを保証したと説明。ヨーロッパに事前に配置されており、ウクライナに迅速に提供できるという。
一方、すぐに使用できるものではなく、ウクライナ兵に使用法やメンテナンスに関する訓練をほどこすのに3週間前後かかるとした。
ロシアは東部ドンバス地方の制圧に向けて攻勢を強めており、ウクライナ最後の拠点とされるルハンスク州セベロドネツクでは、ウクライナの支配下にあるのはわずか20%で、ロシアの完全掌握は時間の問題とも報じられている。
ウクライナが3週間の訓練期間を待てないのではないかとの記者の質問に、カール氏「そうは思わない」と答えた。
ハイマースとは?
ミリタリータイムズによると、ハイマースは、車両に搭載するロケット発射システムで、正式名をM142 HIMARS(High Mobility Artillery Rocket System)という。軽量でトラックに搭載できることから、敏捷で機動性の高い攻撃を展開できるという。射程距離70kmは、5月に米国がウクライナに提供したM777榴弾砲を2倍上回るという。
↓製造元のロッキードマーティンによる実演動画
発射ポッドに227mm誘導弾6発を装填して運ぶことができ、発射後は少ない人員で約1分間という短時間で再装填が可能だという。大型の発射ポッドで射程距離300kmのATACMS戦術ミサイル1基を発射することが可能だが、米国はこれを供与していない。