働く方に関する新用語「Quiet quitting」がTikTokで拡散され、話題になっているという。
直訳すると「黙ってやめる」だが、退職を奨励するものではない。NBCニュースは、ストレスを軽減するため、仕事と実生活の間に明確な境界線を設けることだと説明している。
現在、数多くのユーザーがQuiet quittingに関する動画を投稿し、それぞれの考えやスタイルをシェアしている。
「5時を過ぎたらパソコンを閉じ、家族との時間を増やす」「契約以外の業務に手をつけない」「2、3人分の仕事量はやらない」「給与に見合った仕事にとどめる」など、考え方はさまざまのようだ。
今年初め、掲示板サイト「レディット」に立ち上がったフォーラム「アンチワーク」が盛り上がったが、こちらがいかに仕事せずに給与をもらい続けるかに話しが偏りがちだったのに対して、Quiet quittingは、ワークライフバランスの議論のように聞こえる。
40万人を超えるフォロワーを抱えるキャリアコーチのアリソン・ペックさんは、クワイエットクイッターたちは「期待以上のことはやらない。職場のハッスルカルチャーを追求しない」と説明。テレビ番組Todayの取材では「雇用主のために全力を尽くすことはなく、精神や肉体的な健康を犠牲にすることもない。彼らは報酬分の仕事をやるのみだ」と話し、「彼らは自分自身を大切にするため、慎重にゆっくり働いているだけ」と語った。
ちなみにアンチワークでは、「電話にほとんど出ない」「仕事をITで自動化する」といったか武勇伝(?)の投稿が話題になっていたほか、フォーラム参加者には社会主義者や共産主義者、アナーキストを自称する者が多いとも伝えられていた。
従業員のエンゲージメントが減少
TikTokでは若者の投稿が目立つが、仕事に対する姿勢は、世代に関係なく変化しているようだ。
ギャラップが今年の初頭に公表した世論調査では、仕事に積極的に関与していると回答した従業員の割合は、2020年に36%だったが、32%に低下。過去10年で、初めて減少に転じた。
世代間にそれほどの差はなく、X、Z、ミレニアル、ベビーブーマーでは31%から33%の間となった。
勤務形態別では、リモートワークやハイブリッド勤務者のエンゲージメントは37%で、オフィス勤務者や現場労働者の29%よりも高いことがわかった。
ギャロップの職場と幸福に関する主任研究員ジム・ハーター氏は、Quiet quittingに関して、トップやマネジメント職の重要性を指摘。「適切な時に、適切な会話をすることが大切」だと述べ、そうすれば彼らは、役割や期待値、彼らの仕事の関連性などについて理解するだろうと語っている。