共和党の大統領候補者選びの初戦となるアイオワ州党員集会が1月15日に実施される。午後7時に学校や図書館、コミュニティセンターなど1657箇所に設けられた各地域の集会所に参加者が集まり、党代表者による演説を聞いた後、投票を行う。多くの州が採用する予備選挙と異なり党員集会は党によって運営される。電話やメールなどのリモート参加は認められていない。
候補者は?
CBSニュースによると、アイオワ州で候補者として名を連ねるには、投票所に登録するか、州内で選挙運動を行わなければならない。共和党の代表者によると、トランプ前大統領とフロリダ州のデサンティス知事、ニッキー・ヘイリー元国連大使、起業家のヴィヴェク・ラマスワミ氏、元アーカンソー州知事のアサ・ハッチンソン氏、牧師のライアン・ビンクレー氏が候補者資格を得ており、先週水曜日に撤退表明したクリス・クリスティ前ニュージャージー州知事も加わっているという。
勝敗のゆくえは?
13日に発表されたNBCニュース/デモイン・レジスター/メディアコムによる最終世論調査では、トランプ氏の支持率は48%で他候補を圧倒している。2番手に浮上したのはヘイリー氏で20%。デサンティス氏は16%だった。ラマスワミ氏は8%、ハッチンソン氏とビンクレー氏は1%となった。
仮に党員集会の結果が世論調査どおりとなれば、トランプ氏は2位との得票差で、1988年のボブ・ドール氏の記録13ポイントを2倍以上上回ることになる。
予想外の展開も起こりうる。2016年選挙では、トランプ氏はアイオワ州の世論調査で首位を獲得していたが、テッド・クルーズ上院議員に敗れた。この結果に、トランプ氏はクルーズ氏が「違法に盗んだ」と主張していた。2020年の民主党党員集会では、ピート・ブティジェッジ氏がサプライズ勝利を果たした。バイデン氏はブティジェッジ氏を10ポイント下回り、4位だった。
アイオワの結果がもたらす影響は?
共和党の候補者指名獲得に必要な1,215人の代議員のうち、アイオワ州で争われるのはわずか40人にすぎない。
代議員の数では指名獲得を大きく左右するものではないものの、CNBCは、その後に続く予備選における「候補者の生存力」を測るリトマス試験紙で、有権者にとって、誰が全国舞台で勝利するチャンスがあるかを判断する材料になると指摘している。
参加者は真冬の夜に外出しなければならず、候補者の支持基盤の熱量を測るバロメーターにもなる。今年の天候は過去に例を見ない厳しさが予想されている。国立気象局は、北極圏の大気が火曜日まで危険な低温と冷たい風をもたらし続け、体感温度は-35度から-42度になると警告している。
アイオワ大学の政治学教授、ティム・ヘーゲル氏はCBSの取材に、アイオワは「キングメーカー」ではないとしつつ、「競争者と偽物の振り分け」であり、「われわれの仕事は、候補者を精査すること」と説明している。
共和党に関しては、アイオワの勝者が党の指名を獲得する確率は決して高くない。1976年以降9回の選挙で、同州を制した後に党の指名を獲得した候補者は、ジェラルド・フォード氏(1976年)とボブ・ドール氏(1996年)、ジョージ・W・ブッシュ氏(2000年)、トランプ氏(2020年)の4人で、大統領選で勝利したのはブッシュ氏のみとなっている。
一方の民主党では、アイオワ党員集会で勝利した9人のうち7人が党指名を獲得。このうちジミー・カーター氏とオバマ氏がその後の大統領選で勝利した。