仕事用BGM選び:本当に仕事がはかどる音楽はどれか

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仕事のパフォーマンスをあげようと音楽をかけたけれど、かえって音楽が気になってしまって気が散ってしまった…なんて経験はないだろうか。では、どんな音楽なら仕事に効果を発揮するのか。そもそも「仕事用BGM」などと謳っている楽曲はデタラメなのだろうか。

そんな疑問を持つ人々にとって興味深い研究結果が、最近発表された。

米国の大学の神経科学者や心理学者、音楽学者からなる研究チームは、オンラインで募集した被験者196人に対して、作業中に音楽がムードとパフォーマンスに与える影響を観察した。

音楽は「ワークフロー」と「ディープフォーカス」として宣伝されている音楽、ポピュラー音楽、そして職場のノイズの4種類を用意した。「ワークフロー」と「ディープフォーカス」を選択した理由について、マーケティング上は似通っているが、音楽的特徴に顕著な違いがあり、異なる神経反応や行動反応を引き起こすことが予想されるためとしている。

参加者は割り当てられた音楽を10分間聞きながら、フランカー課題と呼ばれる選択的注意を要するタスクを実行した。

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結果、ワークフロー音楽を聴いた参加者だけが、気分とパフォーマンスの両方で顕著な改善を示した。

ワークフローを聴きながら課題に取り組んだ参加者の76%が、気分の改善を報告したのに対して、他の条件の参加者はいずれも50%以下だった。パフォーマンス面において、音楽の違いによる正確さには差がなかったが、ワークフローの参加者は、ディープフォーカスに比べて時間の経過とともに速く課題を遂行することができた。さらに気分の改善と時間の経過に伴う速度向上との間に関連性が示された。

気になるワークフローの音楽だが、研究では音楽セラピーアプリSpirituneが提供するものを使用した。楽曲的特徴には、歌詞がなく、中程度のテンポでビートが明確かつ複雑でない、調性がシンプルで明快、主に長調で構成される、音程が低音から中音域にかけて偏りなく分布している、ほどよいダイナミズムがあるといった点が挙げられる。

一方、効果が見られなかった「ディープフォーカス」は、Spotifyから抽出したもので、比較的ミニマリスティックで、調性はシンプルだがリズムが弱いなどの音楽的特徴を有しているとしている。

音楽を活用して効率的に仕事をしようという人は、こうした指針を参考に楽曲を探してみてはいかがだろうか。