15日、フロリダ州の捜査当局者らは合同記者会見を開き、ゴルフ場でプレー中だったトランプ氏を場外の林からライフル銃で銃撃しようとした可能性があるとして、ハワイ在住の男を拘束したことを明らかにした。
ペンシルベニアの集会でトランプ氏が暗殺未遂の標的となってからちょうど2ヶ月が経つ。トランプ陣営の報道官は同日、トランプ氏に危険は及ばなかったと発表している。
パームビーチ郡のリック・ブラッドショー保安官によると、午後1時30分、シークレットサービスから発砲の連絡を受け、ウェストパームビーチのトランプ・インターナショナル・ゴルフクラブ周辺を封鎖した。男が林から飛び出して車で逃走したとの目撃者の証言および写真から、容疑者とみられる男の車のナンバープレートを把握。ナンバープレート読み取り機を使って場所を割り出し、州間高速道路95号線を走行しているところを停車させ、拘束した。
男のいた林からはスコープを取り付けたAK-47スタイルのライフルとフェンスにかけてあったバックパック2個、GoProを押収した。
ライフル銃がフェンスから突き出ているのを確認したのは、危険をクリアするためにトランプ氏がプレーをしていたホールを一つ先回りしていたシークレットサービスのエージェントで、直ちに男に向けて発砲した。男とトランプ氏との距離は300ヤードから500ヤード離れていた。
シークレットサービスは、男がエージェントに向けて発砲したかどうかについて、現在のところ明らかになっていないとしている。
米メディアは匿名の捜査当局者の話として、拘束された男はハワイ州在住のライアン・ウェスリー・ラウス(58歳)と報じている。
ウクライナで義勇兵に志願
ラウス氏は、2022年にウクライナのキーウでニューズウィークルーマニアのインタビューに応じていた。
その中で、自分をノースカロライナ州出身のハワイ在住の人物とした上で、ウクライナ軍の支援活動を行っていると明かした。当初の目的はウクライナ軍の戦闘に加わることだったが、56歳で、軍事経験を持たないことから適さなかったと説明。キーウに移り、海外の人々が戦闘に加わることを促進する活動をしていると語った。
かつてはトランプ氏を支持
デイリーメールによると、ラウス氏は民主党員として登録しているが、過去のツイートで、2016年の選挙でトランプ氏に投票したことを明かしている。その後、2020年に民主党予備選に出馬したハワイ選出の元下院議員、トゥルシ・ガバード氏を支持し、2024年は共和党予備選でニッキ・ヘイリー氏とヴィヴェク・ラマスワミ氏に統一チームの結成を呼びかけていた。
2020年の選挙で反トランプに転じたことについて、「他の候補者と異なり、良い大統領であることを期待したが、われわれは大いに失望させられた。ますます悪化し、退化している」と投稿していた。
同紙はまた、選挙管理委員会の記録から、前回の選挙の民主党予備選において、ガバード氏と実業家のアンドルー・ヤン氏、エリザベス・ウォーレン上院議員、トム・ステイヤー氏など、複数の民主党候補者に寄付していたと報じている。
ラウス氏は頻繁にXのアカウント(現在は閉鎖)を更新しており、今年4月の投稿では「民主主義が投票にかけられている。負けるわけにはいかない」と主張。「アメリカを民主主義の自由の国に。トランプはMASAだ…Make America Slave Against Masters(アメリカを主人の奴隷にする)」と投稿していた。ニューヨークポスト紙は、バイデン氏とハリス氏はラウス氏と類似したスローガンを掲げており、ハリス氏は7月31日の選挙集会で「われわれの基礎的な自由が投票にかけられている、われわれの民主主義が投票にかけられている」と述べていたと指摘している。
過去に逮捕歴
CNNがノースカロライナ州の公の記録を元に報じたところでは、ラウス氏は武器の所持や建物の立て篭もり、税金の不払いなど、過去に何度も違法行為を起こしていた。