ドイツの大富豪の令嬢を装ってニューヨークの社交会に紛れ込み、多額の詐欺を働いたとして裁判にかけられ、有罪判決を受けたアンナ・ソローキン(31)。今月、事件を描いたネットフリックスのオリジナルドラマ「令嬢アンナの真実」(Inventing Anna)の配信がスタートし、再び本人に注目が集まっている。
ソローキン(31)は、自分をドイツの資産家の娘で、6,000万ドル相当の信託の相続人「アンナ・デルヴィー」と偽り、友人やニューヨークのブティックホテル、金融機関から大金をドルをだまし取ったとして2017年に逮捕。2019年4月に重窃盗罪など、複数の罪で有罪評決を受けた。4年~最大12年の実刑を言い渡されたが、模範的な受刑態度が認められ、昨年2月に仮釈放が認められた。
出所後、マンハッタンで買い物をする姿が度々目撃されていたが、昨年4月、米国での滞在資格が失効しているにも関わらず、在留しているとして、移民取り締まり当局に身柄を拘束された。
今はどこに?
インサイダーに今月公開された手記で、今年1月19日に新型コロナウイルスの陽性が判明し、ニューヨーク州オレンジ郡にある拘置施設で、隔離生活を送っていると明かした。
不法滞在については「故意ではないし、私にどうにかできるものでもなかった。ニューヨーク州の法律も、ICEの仮釈放の規則も破っていない。明確で公平な扱いをされていない」と主張。さらに「汚名を返上するため控訴している」とも明かしている。
コロナの症状は「死にはしないはず。でもこんなに具合が悪かったのは過去何年も経験がなかった」と述べる一方、当局者が「医療隔離」と呼ぶ処置は、「医療」でもなんでもなく、都合よく閉じ込めるための口実に過ぎないと批判した。
賠償金を全額返済
手記では、裁判所から命じられた銀行への賠償金を全額支払ったと説明している。インサイダーは昨年2月、ソローキンは、事件をテレビシリーズ化する権利料として、ネットフリックスから32万ドルを受け取り、これを元手に銀行に約20万ドル、州に罰金2万4000ドルを支払ったと報じていた。
ドラマは見ない
ドラマは、当分見るつもりはないという。施設でテレビやパソコンを気軽に使用できないことも理由の一つだが、「犯罪者・非常識人・亡命者の3拍子そろった設定で、フィクションとして作られた自分の物語には魅力を感じない」と述べた。
4年間近くの収監生活で、何度も電話や面談による取材を受け、「制作陣がどのように解釈したかは興味がある」と述べつつ、「後付けでしかないし、出所後も別の酷い施設に拘留される皮肉な現実がある」と自虐的に語った。