米下院議会は13日、TikTokを売却させるか、または米国でのサービスの提供を禁止する法案を352-65の賛成多数で可決した。
法案は先週下院エネルギー・商業委員会を全会一致で通過したもので、国家の安全を守るために敵対国がコントロールするアプリの国内での配布、維持、更新を禁止するとしている。TikTokを所有する中国のアプリ開発大手バイトダンスを名指しており、アプリストアやホスティングサービスに対して施行から180日以内に扱いを停止しなければならないとする一方で、期日内に適正な売却がなされた場合は除外するとしている。
上院の通過は厳しい可能性が指摘されているが、バイデン大統領は法案を支持する意向を示している。
一方で、トランプ前大統領は、Facebookをより強大にさせるだけだとして反対を表明したほか、イーロン・マスク氏は言論の自由を脅かすと批判している。
反対票を投じた共和党の右派、トランプ支持で知られるマージョリー・テイラー・グリーン議員(ジョージア)は、ツイッターにアカウントを凍結された経験に触れ、「これは中国所有の会社による措置ではなかった。 アメリカ資本のツイッターによるものだった」とした上で、「これは、われわれの政府がソーシャルメディア企業と協力してアメリカ人のフリースピーチを検閲している際に起きたことだ」と主張。「この法案は将来に問題を起こし、パンドラの箱を開けるものだ。私は反対する」と語った。
グリーン議員はさらに、TikTokが売却を強制された場合、「誰が買うのか。それが問われなければならない」と懸念を表明した。「1億7,000万人以上のアメリカ人のデータを次に管理するのは誰になるのか? マーク・ザッカーバーグがデータを管理することを信頼できるか。そんなはずがないのは確かだ」と加えた。
なお、2020年にトランプ氏が米国の事業を売却するか、国内の取引を停止することを義務付ける大統領令に署名した際は、マイクロソフト・ウォルマート連合とオラクルが争奪戦に名乗りを上げた。
当時ニューヨークタイムズは、交渉関係者の話として、マイクロソフトとウォルマートが獲得すれば、TikTokをクリエイターとユーザー双方にとって一種のeコマースアプリに変える可能性があると伝えた。一方、オラクルであれば「TikTokのソーシャルインタラクションに関するデータを活用し、自社のクラウド、データ、広告ビジネスを強化できる」と関係者の話を報じた。
今回の法案の成立の見込みは不確かだが、著名な投資家が買収に興味を示している。
アメリカ版マネーの虎「Shark Tank」の出演で知られる投資家、実業家のケヴィン・オレアリー氏はFOXビジネスのインタビューで、「手をあげて、私が買いますと言うつもりだ」と語った。
「サーバーをアメリカの国土に置くことを保証するし、コードに仕組まれた中国のバックドアを閉じることも保証する。ユーザーや保護者、大小のビジネスにとって安全になることを保証する」と考えを語った。一方で、中国人にシェアを「20%、30%残す許可を求める」とも述べ、「彼らは取締役会を支配することはない。私たちがどのように会社を運営するかについて発言権を持たない。したがって、言論の自由の問題は解決される」とも語った。
元アクティビジョンのCEOロバート・コティック氏も買収に興味を示しているという。
ウォール・ストリートジャーナルによると、コティック氏はバイトダンスの共同創業者である張一鳴氏に対して「関心を示した」とされる。同紙はまた、コティック氏はパートナーを探しており、そのうちの一人はオープンAIのCEOのサム・アルトマン氏とも伝えている。