ハリス氏勝利なら閣僚の顔ぶれはどうなる?

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カマラ・ハリス副大統領の政権移行チームは、11月の選挙に勝利した場合において、バイデン政権の高官の一部を留任させるかどうかの検討を進めているという。NBCニュースが報じた。

34議席が投票にかけられる今年の上院選では、共和党が上院で多数を奪還するとの見方が強まっている。The Hillは共和党が勝利する可能性は70%と予測している。

大統領は全体で4,000件以上の政治的任命を行い、そのうち約1,300件は上院の承認を必要とする。ハリス氏は仮に大統領になったとしても、敵対的な上院に直面することになれば、政権運営に必要な人材の登用に困難をきたす可能性がある。

ハリス氏の政権移行チームが高官の留任を検討しているのは、こうした事情を考慮したもので、これには高官職の中での配置換えも含まれる。関係者によると、すでに留まる意思のある閣僚や大使を特定している。ただし、実際に留まるか否かを尋ねる調査はまだ行われていないという。

同局が実施した世論調査によると、登録有権者の4割がハリス政権がバイデン政権の延長になることに懸念を示している。トランプ氏はハリス氏を「バイデン2.0」と攻撃しており、バイデン政権の残留組で重職が占められる予測が広がれば、こうした批判を強めることにもつながる。

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そうしたなか、ハリス氏は、初の女性大統領になった場合には国防長官に女性を任命することで新たな歴史を作りたいと側近らに伝えているという。

NBCによると、初の女性国防長官候補の可能性として、クリスティーン・ウォーマス陸軍長官、オバマ政権で国防次官・政策担当をつとめ、バイデン政権発足にあたって名前が浮上したミシェル・フルノイ氏の名が挙がっている。

一方、事情に詳しい関係者の話として、上院の承認を必要としない安全保障担当大統領補佐官には、ジェイク・サリバン氏に代えて、NATOの米国常駐代表、ジュリアン・スミス氏とハリス氏の国家安全保障担当補佐官を務めるフィル・ゴードン氏の名前が浮上していると報じている。

国務長官では、アンソニー・ブリンケン氏は続投に否定的な考えを示している。今月5日の記者会見で、ハリス氏が勝利した場合の考えを聞かれると、「今は現政権のバランスと1月しか視野に入れていない」と述べつつ、「子供たちとより多くの時間を過ごすことを楽しみにしている」と家族との時間を優先する意向を示した。

次期国務長官候補には、ウィリアム・バーンズCIA長官、クリス・クーンズ上院議員(民主党 デラウエア)、クリス・マーフィー上院議員(民主党 コネチカット)の名が浮上している。

後者の二人は上院外交委員会のシニアメンバーで、クーンズ氏においてはバイデン氏の外交政策の腹心ともされる。The Hillの取材によると、二人とも国務長官を目指す意向について回答を避けたが、クーンズ氏は、上院は歴史的に閣僚の人材プールの役割を果たしてきたと述べたという。

また、ハリス氏の上院議員時代の補佐官の一人は、同サイトに、ハリス氏はマーフィー氏と親しく、それが同氏の閣僚への起用にプラスになる可能性を示した。

News Nationによると、司法長官候補は、ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事が最有力と目されている。同氏は2001年から2017年まで州司法長官を務めており、ハリス氏とはカリフォルニア州司法長官時代からの知り合いだという。今月のCBSの番組インタビューで、クーパー氏は司法のトップを務める可能性について、「そのうちわかるだろう」と回答した。

クーパー氏以外には、連邦検事出身のダグ・ジョーンズ元上院議員(民主党 アラバマ)、マサチューセッツ州の司法長官から2022年の中間選挙で知事に当選したマウラ・ヒーリー知事の名前が挙がっている。

財務長官については、ハリス氏は現職のジャネット・イエレン氏を気に入っており、引き続き起用する可能性があると報じられている。このほかにはジーナ・ライモンド現商務長官、世界銀行のアジェイ・バンガ総裁、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOの名前も浮上している。

労働長官の候補には、昨年90歳で死去したダイアン・ファインスタイン上院議員(民主党 カリフォルニア)の議席を引き継いだラフォンザ・バトラー氏が有力視されている。

黒人女性として史上3人目の上院議員になったバトラー氏は、カリフォルニア州最大の在宅介護・老人ホームの労働者組合SEIUの代表を務めるなど労働問題の指導的な立場を務め、ハリス氏とは盟友の関係にある。ハリス氏の元補佐官は「2人は本当に非常にうまく連携している」と指摘。「内閣に就くのは1000パーセント理にかなっている」と主張している。

なお、RealClearPoliticsによる主要な世論調査の集計では、全国調査の平均でハリス氏が2ポイントリードしているが、勝敗の行方を実質的に左右する7つの激戦州(ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシン、ノースカロライナ、ジョージア、ネバダ、アリゾナ)は互角の状態が続いている。