かつて多くのアーティストが居住し、アートやファッションなど、新しいカルチャーの発信源として注目を集めてきたブルックリンのWilliamsburg(ウィリアムズバーグ)に、オーガニック系大手グロッサリーチェーンのWhole Foods Market(ホール フーズ マーケット)と、ブルックリン初の店舗となるApple Store(アップルストア)が先週オープンしました。
大手チェーンストアが相次いでオープン
ホールフーズがオープンしたのは、ウィリアムズバーグの中でも発展の著しい、Bedford Avenue(ベッドフォードアヴェニュー)とN 4th ストリートの交差地点。店舗は地上1階と地下の2フロアからなり、グロッサリーに加えて、フードホールが充実した大きな施設となっています。
商品は、地元ブルックリン産の製品を800種類ほど用意。フードホールでは、ロブスターロールで有名な「Luke’s Lobster(ルークスロブスター)」、「No. 7 Veggie」,「East Coast Poke」, ウィリアムズバーグのアイスクリームショップ「OddFellows Ice Cream Co(オドフェローズアイスクリーム)」といった地元のベンダーがメニューを提供しています。ローカルの人気店を入れることで、新たなショッピング体験を提供しようとする試みが伺えます。
ホールフーズのオープン3日後の土曜日には、アップルストアもオープン。同社としてはブルックリンは初出店となる記念のお店で、場所もホールフーズの向かい側。朝10時の開店時には、店前の通りの角まで行列ができるほどで、注目度の高さが伺えました。
ニューヨークで最も高い家賃上昇率
ウィリアムズバーグは、ブルックリンを含むニューヨーク市中でも、特に急激な発展を遂げてきた地域で、1990年から2014年の間に平均家賃は78.7%も上昇。NYU’s Furman Centerによる調査によると、ウィリアムズバーグとグリーンポイント地区では、2000年には中央値で$857だった家賃が 2014年時点では$1,591に上昇したことが報告されています。ニューヨーク市全体では22.1%の上昇率であるため、その特異さが伺えます。
ちなみに、ウィリアムズバーグの中心地にある101 Bedford (Bedford と North 10th Streetの角)のアパートメントは、スタジオサイズ(1ルーム+キッチン)で$2,650、2ベッドルームの中の最も高い部屋は$5,600にもなるのだとか。
1980年代から安い家賃を背景に、多くのアーティストが移り住み、アートやファッションなどにおいてユニークな文化で若者を惹きつけてきた地域でしたが、その人口構成はこれらの急激な高騰により変化しているようです。1990年には実質の平均年収が53.550ドルだったものが、現在では1/4の世帯が10万ドル以上の所得を得ており、職業、年齢・世帯構成に大きな変化が起きているようです。
新しく誕生するものもあれば、去ってゆくものも。
1996年以降、工場見学ができることで、旅行者にも人気の地ビールメーカー、Brookyln Brewery(ブルックリンブリュワリー)が、地価の高騰を受け、工場のリース契約の更新をせず、Navy Yard若しくはロングアイランドなど、他の地区に移転を予定していることをアナウンスしました。契約は2025年まで残っており、先の話とはなりますが、ウィリアムズバーグの変化を象徴するニュースとして注目を集めています。
さらに、ニューヨーク市営地下鉄(MTA)が、巨大ハリケーン”サンディ”の被害による修復工事のため、マンハッタンとブルックリン区間の地下鉄L線の運行を、2019年1月から18か月にわたって閉鎖することを、先日発表しました。マンハッタンへの主要な移動手段が閉鎖されることから、地価の下落の懸念など様々な憶測が飛び交っています。
スターバックスや、ホールフーズ、アップルストアといった大規模チェーン店の出店は、昔から商売を営んできた小規模店舗への大きなインパクトが予想され、それらが、オープンするたびに地元の人の懸念の声も上がっています。
若者のヒップな街として知られるウィリアムズバーグが、どのように変化していくか、今後注目されるところです。
[su_label]場所[/su_label]Whole Foods Market Williamsburg店 :238 Bedford Ave, Brooklyn, NY 11249
Apple Store Williamsburg店 :247 Bedford Ave, Brooklyn, NY 11211