スキャンダル合戦がスタート?ハリス氏指名確定の大統領選、泥試合の予感

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民主党が代議員によるバーチャル投票を終えた結果、トランプ氏とハリス氏が対決することが確実となった米大統領選。今後、候補者に対するメディアの厳しい追求に加え、各陣営によるネガティブリサーチ、情報リークなど足の引っ張り合いが本格化しそうだ。

大統領選では11月が近づくにつれ、候補者にまつわる新事実や疑惑、過去の失言、家族の醜聞など、スキャンダルが次々と明るみに出る傾向にある。

2016年大統領選では、トランプ氏が2005年にバスの中で行った女性への卑猥な会話を収録した、通称「アクセスハリウッドテープ」が直前にリークされたほか、後にロシア捜査へと発展するトランプ陣営のロシア結託疑惑、クリントン氏の私的サーバー使用問題が物議を醸した。

2020年は、選挙1ヶ月前に勃発したハンター・バイデン氏のパソコンデータ流出事件が記憶に新しい。データにはハンター氏が売春や薬物にふける姿を撮影した破廉恥な写真やビジネスメールが含まれていた。ニューヨークポスト紙は父親の息子のビジネスへの不適切な関与を示すものだとしてバイデン氏のネガティブキャンペーンを張ったが、SNS各社に記事の共有をブロックされ、他のメディアから総スカンを食らったことで不発に終わった。

今年については、ここ数週間、トランプ氏のランニングメイトとなったJ.D.バンス氏の女性蔑視的な過去の発言が浮上。物議を醸した。

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バンス氏は2021年に当時FOXニュースの司会だったタッカー・カールソンとのインタビューで、米国政府は民主党や企業のオリガルヒ、「自分が下した人生と選択によって惨めな思いをし、国も惨めにしたいと願っている子供のいないキャット・レディ(一般的に、子供を持たないことを選んだ女性に対する軽蔑的な言葉と解される)の一団」に運営されていると主張。「これは事実だ。カマラ・ハリスやピート・ブティジェッジ、アレクサンドリア・オカシオ・コルテスを見てのとおり、民主党の未来はすべて、子供のいない人々によってコントロールされているのだ」と語った。

なお、ハリス氏には夫エムホフ氏が前妻の間にもうけた二人の義理の娘がいる。初めて同性愛者であることを公表して運輸長官となったブティジェッジ氏も、2021年8月に双子を養子にしている。

ハリス氏の夫で当選すれば米国初のファースト・ジェントルマンとなるダグラス・エムホフ氏にも白羽の矢が立った。3日、英紙デイリーメールは、エムホフ氏が前妻カースティン氏との婚姻中に、ナニーと不倫し、妊娠させたと報じた。

エムホフ氏はすぐに不倫を事実であると認め、報道機関に声明を発表。「最初の結婚生活において、カースティンと私は、私の行いにより辛い時期を過ごした。私は責任を取り、それ以来、家族として共に問題を乗り越え、より強くなって立ち直った」と述べた。

現役時代から現在までスキャンダルまみれのトランプ氏にも、新たな疑惑が浮上した。

ワシントンポスト紙は4日、2017年1月にトランプ氏が大統領に就任する数日前、エジプトの国営銀行から「エジプトの情報機関に関連する組織」によって1,000万ドルが引き出され、これがトランプ陣営に渡った可能性をめぐる連邦捜査が行われていたと報じた。

同紙によると、連邦捜査官らは当時、エジプトのシーシー大統領がトランプ氏の大統領選を後押しするために1,000万ドルを提供しようとしていたことを示す機密情報をつかんでいた。

「シーシー氏に関する情報を受けとって以来、司法省は資金がカイロからトランプ氏に渡ったかどうかを調べていた。米国の候補者が外国資金を受け取ることを禁じた連邦法に違反する可能性がある。捜査官らはまた、シーシー氏からの資金が、トランプ氏が大統領選終盤に自己資金1,000万ドルを選挙戦に投入するという決定に影響を与えた可能性についても調べようとしていた」。

資金の引き出しを知った数ヶ月後、FBIの捜査官らは司法省上層部によって銀行記録の入手を阻止され、2019年秋には、当時司法長官だったウィリアム・バー氏が捜査継続に必要な証拠の存在に疑問を呈したことで、捜査は停止状態に陥ったという。

同紙は、かつてシーシー大統領を「私のお気に入りの独裁者」と呼んだトランプ氏は、大統領時代にシーシー氏に有利な方向に政策を転換したと指摘。トランプ政権の最初の国務長官が反対したにもかかわらず、人権侵害を理由に米国が留保した1億9,500万ドルの軍事支援を解除し、その後追加で12億ドルを拠出したと報じている。