ウィリアム・バー司法長官は12日の会見で、ジェフリー・エプスタイン被告(66)が拘置所で死亡した問題について、施設に「深刻な違反」があったと語った。
エプスタイン氏は7月、少女らを性的搾取の目的で人身取引をしたとして起訴された。公判では無罪を主張していた。保釈を求めたが認められず、マンハッタンにある拘置所「メトロポリタン矯正センター」に拘留されていた。8月10日午前6時半ごろ、意識不明の状態で発見され、搬送先のニューヨーク・ダウンタウン病院で6時39分に死亡が確認された。首つりによる自殺とみられている。
エプスタイン氏は7月23日にも意識不明で負傷した状態で発見されていた。この時、首つりを試みた跡があった。施設は自殺として調査を進めたが、一方で別の受刑者による暴行や演出の可能性を否定していなかった。
バー長官は会見で、エプスタイン氏の自殺について「司法省全体が愕然とした。率直に言って、MCC(拘置所)が十分にこの囚人を保護できなかったことを知って、怒りを覚えた。」と語った。
続けて「施設には深刻な違反があり、深い懸念と徹底した調査を要する。FBIと監察官がすでに行なっている。」と調査を開始したことを明らかにし、「MCCで起きたことの真相を探り、この失敗に対する責任を明確にする」と語った。
NYタイムズによると、エプスタイン氏は7月23日の自殺未遂の後、自殺の可能性があるとして観察下に置かたが、約10日ほど前に観察が解かれていた。この変更に際し、施設は司法省に対して、同房者を置き、2名の担当官が部屋を30分ごとに見回ると報告していた。しかし、同房者は最近になって別の部屋に移されていたという。
バー長官の声明を受け、7万人の政府職員が参加する組合、米国公務員連合はツイッターで「トランプ大統領による刑務所局の雇用の凍結に警鐘を鳴らしてきた。結果として数千人のスタッフの空きができ、これら職員不足が職員と受刑者に危険な状態を作り出している」と反発した。
バー長官はまた、「このケースは、エプスタインのいずれの共犯者に対しても継続することを保証する。どの共犯者も安心するべきではない」と、性犯罪捜査を継続する意向を述べた。
自殺の前日、ニューヨークの連邦裁判所は、エプステイン氏の性犯罪に関連する2015年の裁判資料を公開した。この中で、告発を行なった女性は、性行為を強要された人物として、エプスタイン氏のほか、エリザベス女王の次男、ヨーク公アンドリュー王子、ビル・リチャードソン元米国連大使、ハーバード大学ロースクールのアラン・ダーショウィッツ教授といった著名人の名前を挙げている。