ニューヨーク市の地下鉄で22日、女性客が暴行され、所持品を奪われる事件が起きた。
警察によると、事件があったのは、34ストリートヘラルドスクエア駅のFトレインのプラットフォーム。午前4時ごろ、23歳の女性が電車を待っていたところ、近づいてきた男にヘッドロックをされ、地面に投げつけられた。男は、女性の体を触った後、バッグを奪い逃走した。女性は、近くの病院で手当てを受けた。
ニューヨーク市警察は、防犯カメラの映像を公開し、情報の提供を呼びかけている。映像には、紺色の服を着た男が、切符を買わずに、改札口を乗り越える様子が映っている。
前日には、ペンステーション付近を走行する電車にいた男性が、刺殺される事件が起きた。
被害者の男性は、元サッカー選手のアキーム・ロニー(Akeem Loney)さん(32)。座席で眠っていたところ、刃物で首を切りつけられた。病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。警察は、無差別殺人の可能性があると発表している。
ロニーさんのコーチを務めていた男性は、地元テレビ局WABCに対し、「ただ地下鉄に乗っていて、目が覚めたら首を切られていたなんて、想像もつかない。この24時間、それを考えるだけで気分が悪い」と憤りを語った。
▼ロニーさんを刺した男性の写真(DCPI)
さらに、アッパーイーストサイドの96ストリート駅付近では、23日午前1時50分ごろ、6番線の車両で、2人の男が乗客を暴行する事件が起きた。
被害者の男性は、頭部を床に打ち付けられ、意識を失った。現在入院中だが、命に別条はないと、発表されている。
デブラシオ市長は22日、最近起きた地下鉄での事件について「非常に厄介な問題」と懸念を表明した。警察官の「存在感を示す」など、何らかの対策を講じる意向を示した。
地下鉄を運営するMTAの発表によると、10月に起きた強盗事件は、前月の52件から40件へと減少した。暴行(36件から34件)と重窃盗罪(96件から85件)もそれぞれ減少した。ただし、先週報告された地下鉄での事件は、昨年同時期より140%上昇している。
MTAの会長代理兼CEOのジャノ・リーバー氏は同日、ダーモット・シェイ警察委員長と会談を行ったことを明かし、公共交通機関全体で警備を強化することに合意したと発表した。
地下鉄における犯罪件数は、過去25年間で最小だとしつつも、「各駅に監視カメラを設置するなどして、利用客の安全確保に取り組む」と述べた。