ブロンクスにあるニューヨーク植物園(NYBG)で10日から、草間彌生(1929-)の大規模な展覧会「KUSAMA: Cosmic Nature」がスタートした。当初、昨年5月から開催を予定していたが、パンデミックで1年延期された。
草間氏は長野県の中蔦屋農園(現:ナカツタヤ)で生まれ、幼少時時代から畑や温室など植物に囲まれた環境で過ごした。展覧会では、4点の新作に加え、米国で初めて公開される作品も含まれる。
10代に描いたドローイングから、新作のパンプキンの巨大なブロンズ像まで、植物や生をテーマに作品を創造し続けてきた草間氏の長いキャリアを知る内容となっている。

キュレーターを務めた吉竹美香氏によると、NYBGの作品展の構想は2018年から始まった。草間氏は、同植物園の写真を見ながら新作を製作したという。
植物園ならではの大型作品や、館内の木や池を使用した自然との対話的な作品など、美術館とは異なる作品群が鑑賞できる。
展覧会のみどころは?
入り口で出迎えるのは、イエローフェイスにポルカドットの花びらがついた「I Want To Fly to the Universe」(2002/2021)。太陽のように明るく、池に映ったリフレクションが美しい作品。

ビジターセンター付近にある建物内では、暗闇の中でガラスキューブの中に入ったポルカドットのパンプキンが、まるで生き物のように浮かび上がる作品「Pumpkins Screaming About Love Beyond Infinity」(2017)を展示。

ガーデン通りには、ポルカドットのテキスタイルでデコレーションされた木「Ascension of Polka Dots on the Trees」 (2002/2021)が立ち並ぶ。鮮やかなレッドが春の訪れを感じさせる。

ハウプト温室(The Enid A. Haupt Conservatory)前の芝生に設置されたポルカドットのパンプキンの彫刻「Dancing Pumpkin」(2020)。5メートルの高さの巨大なブロンズ像は、躍動感に溢れ、今にも走り出しそうな作品。

温室内のギャラリーでは、ビビッドなカラーのドットのフラワー「My Soul Blooms Forever」(2019)を展示。

「Flower Garden」(2014)にインスピレーションを得て作られた花壇を通り抜けると、季節の花々に囲まれたピンクとゴールドのモザイクで作られたゴージャスなパンプキン「Starry Pumpkin」(2015)が鎮座する。


有名な「ナルシスの庭」(Narcissus Garden)(1966)を池で再現。1400個のミラーボールが風で動き、ボール同士がぶつかり合うなど自然と呼応するアート。

参加型のインスタレーション「Flower Obsession」(2017/2021)は、今回初めて温室を使用。鑑賞者が赤いポピーの造花や、シールを好きな位置に貼り付けることで、作品が完成していく。


ルーエスター T. メルツ図書館(The LuEsther T. Mertz Library Building)では、16歳の時に描いた植物のスケッチブックや絵画、ペーパー作品、パンプキンの彫刻、「我が永遠の魂」シリーズなどを展示。





インフィニティ・ミラールームの新作「Infinity Mirror Room – Illusion Inside the Heart」(2020)。キューブの壁は鏡となっており、森林に溶け込むようなデザイン。ルームの内側は、6月以降に公開を予定(チケット別売)。

展覧会は10月31日まで。春から秋まで3シーズン開催され、季節の花々とともに作品を鑑賞することができる。
チケットは公式サイトから時間を指定して購入する。
「Kusama: Cosmic Nature」
- 期間:2021年4月10日~10月31日
- 場所:ニューヨーク植物園(New York Botanical Garden)
- 住所:2900 Southern Boulevard, the Bronx, New York
- 大人35ドル(ギャラリー&ガーデンセット)、シニア(65歳以上)・学生33ドル、子供(2–12歳)15ドル
- *インフィニティミラールームは別料金(10ドル)
- www.nybg.org